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【過去問解説】 標準旅行業約款「電話等による予約」ほか (令和4年出題)

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「約款」科目から契約の成立に関わる問題です。
一見簡単そうに見えますが、今回はあからさまな"引っ掛け"選択肢がないので私は逆に手間取ってしまいました。

令和4年 約款 問題1(3) 配点4点/100点

標準旅行業約款に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
募集型企画旅行契約の部「電話等による予約」「契約締結の拒否」「契約の成立時期」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

選択肢ア.
旅行業者が旅行者からインターネットにより通信契約の予約を受け付け、当該予約の承諾の旨を通知した後、旅行業者が定める期間内に、当該旅行者から会員番号等の通知があったときは、契約の締結の順位は、当該予約の受付の順位による。

選択肢イ.
旅行業者は、旅行者が、旅行業者に対して暴力的な要求行為、不当な要求行為、取引に関して脅迫的な言動若しくは暴力を用いる行為を行ったときは、契約の締結に応じないことがある。

選択肢ウ.
旅行業者は、応募旅行者数が募集予定数に達したときは、契約の締結に応じないことがある。

選択肢エ.
契約は、通信契約の場合を除き、旅行業者が契約の締結を承諾し、旅行者から旅行業者所定の申込書を受理した時に成立する。

 

 

"誤った"選択肢を選ぶ問題です。
"正しい"選択肢3つを選ぶ解き方(消去法)もありますが、今回のケースのように「常識的に考えて当たり前だよね」というのが多いと、逆に引っ掛けの匂いを嗅ぎ取ろうとして時間がかかってしまうこともあります。私だけでしょうか。

今回も、原文参照する方は「標準旅行業約款 募集型企画旅行契約の部」で検索してください。場所は第5条~第8条に当たります。

さて、この問題の正解(誤っているもの)は、選択肢エ.です。

以前どこかの過去問で、「契約の際には所定の申込書と申込金の提出が必要」(通信契約の場合を除く)と見た記憶があります。この両者は同時に提出するのが当たり前のように感じていましたが、どちらか一方だけ先に提出するなんてことが現実にあるんでしょうか。
穿った見方をすれば、申込金だけ先に提出することには意味がない(申込書が出ていないと、下手すれば名前もわからない)ので、申込書→申込金の順で提出されることを想定しているのでしょう。実際に第8条「契約の成立時期」には、契約成立を司るのは申込書ではなく申込金の受理タイミングの方だと明記されています。ここは丸暗記するか「申込書だけ先に出してもダメ」という覚え方をするかどちらかだと思います。

選択肢ア.は"正しい"内容です。
この条文自体は過去問でもよく見ます。ただ、"正しい"文章の選択肢として見るケースはあまりないので、私も問題を見たとき思わず二度見しました。
"誤り"選択肢の場合だと、「契約の締結の順位は、会員番号等の通知の順位による」と文章が変えられているパターンが圧倒的なんですよね。
「会員番号等の通知の順位による」がどういう意味を示すかは、令和3年過去問の解説で述べていますので、興味のある方はそちらも併せてご覧ください。
「通信契約の契約締結順位」令和3年過去問解説はこちら

選択肢イ.とウ.もそれぞれ"正しい"内容です。
これらは、第7条「契約締結の拒否」に登場します。トラブル回避を目的としており、常識的に相応と考えられるケースであれば、契約を結ばない"権利"が旅行業者側にあることを示しています。
イ.の事例もウ.の事例もこの通り条文の中で例示されているので問題ありませんが、常識的に考えて「これは断られても仕方ないよね」と思えるケースですね。
ところで、原文の例示の中には「その他当社の業務上の都合があるとき」というのがあるのに気付かれたでしょうか。(列挙の一番最後です)
つまり、主だった(よくある)ケースは例示できたとしても、世の中のトラブルには多種多様あるので、例をいくら列挙してもきりがなく、最後は"その他"条項で逃げるほかないのです。
逆にとらえれば、乱暴な言い方ですが、断られても常識的に仕方ない(もちろん旅行業者の単なるわがままではない)と判断できさえすれば、ほぼ何でも"その他業務都合"で通すことも可能という解釈方にもなります。

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