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【過去問解説】 モデル宿泊約款 (令和4年出題)

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旅行業者や運送機関と同様、宿泊施設においても宿泊客との間で締結する契約の内容について定めた約款が存在します。
中身は各社各様で決めればよいのですが、旅行業務試験では観光庁が設けたモデル約款に添って出題されます。

令和4年 約款 問題5 配点4点/100点

モデル宿泊約款に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。

選択肢ア.
ホテル(旅館)は、宿泊客がチェックアウトしたのち、宿泊客の手荷物又は携帯品がホテル(旅館)に置き忘れられていた場合において、その所有者が判明しないときは、ホテル(旅館)は、発見日を含め7日間保管し、その後最寄りの警察署に届ける。

選択肢イ.
ホテル(旅館)は、宿泊客に契約した客室を提供できないときは、宿泊客の了解を得て、できる限り同一の条件による他の宿泊施設をあっ旋する。

選択肢ウ.
ホテル(旅館)は、宿泊客が、他の宿泊客に著しい迷惑を及ぼす言動をしたときは、宿泊契約を解除することがある。

選択肢エ.
宿泊契約は、ホテル(旅館)が契約の申し込みを承諾し、かつ、ホテル(旅館)が定める申込金を受理したときに成立する。

 

 

この問題の正解(誤っているもの)は選択肢エ.です。

宿泊契約において申込金は確かに存在するのですが、順番が異なっており、まず契約そのものは宿泊施設側の承諾のみで成立します。
次に(つまり契約後に)申込金の支払です。通常は支払期限が伝えられるので、その日までに申込金を収めればよいことになっています。
また、これも実際よくある話なのですが、申込金を求められないケースもあります。約款では一応"申込金を求めない特約を結ぶ"という形にはなっているのですが、単純に契約時(申込→承諾の際)に宿泊施設側から申込金の話が何も出なければ自動的にこのケースに当てはまると解釈してよいでしょう。

これ以外の選択肢はいずれも"正しい"です。

選択肢ア.は正しいことは正しいのですが、規定の半分(後半部分)しか書かれていないので少し妙な感覚がします。
まず、置き忘れを発見した場合に最初にやることは所有者への連絡です(もちろん、所有者がわかって連絡がつく場合の話ですが)。連絡がつきさえすれば対処方を話し合って事態を解決させることができます。
選択肢ア.に書かれているのはあくまで「所有者が判明しない場合の話」であり、これ自体は正しいです。所有者がわかっているのに黙って(ただただ連絡を待って)7日間保管するわけではないので念のため。

選択肢イ.も"正しい"のですが、文面をよく読まないと誤解してしまう人もいるかと思います。
ここで述べているのは、既に契約したのに(客室の提供を約束したにも関わらず)何らかの理由により客室提供ができなくなった場合の話です。"満室"により申込を断る場合の話ではないのであしからず。
話を戻して、契約が履行できない事態においては、
・まず、できる限り同一の条件による他の宿泊施設をあっ旋する
・それもできない場合は補償料を支払う
という手順になります。場合によっては、宿泊客が宿泊当日その施設に到着するまでわからないこともあるでしょうから、他施設へ案内することは利用者目線で正しい措置であると言えましょう。

選択肢ウ.も"正しい"です。
約款にもこの通り書いてありますが、まあ一般常識的にも納得できる話ですね。

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