旅行好きのための国内旅行業務取扱管理者ガイド

令和4年過去問解説 全問対応しました 「趣味は旅行です」から1ランク上を目指す方へ!

MENU

【過去問解説】 標準旅行業約款「契約書面の交付」ほか (令和4年出題)

過去問まとめ(リンクページ)はこちら

「契約書面」「確定書面」に関する出題は過去問でもよく見かけます。
それぞれの発行目的についてきちんと理解しておきましょう。

令和4年 約款 問題1(4) 配点4点/100点

標準旅行業約款に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
募集型企画旅行契約の部「契約書面の交付」「確定書面」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

選択肢ア.
旅行業者は、契約の成立後速やかに、旅行者に、旅行日程、旅行サービスの内容、旅行代金その他の旅行条件及び旅行業者の責任に関する事項を記載した書面を交付する。

選択肢イ.
旅行業者は、契約書面において、確定された旅行日程、運送若しくは宿泊機関の名称を記載した場合には、改めて確定書面を交付することを要しない。

選択肢ウ.
確定書面を交付した場合であっても、旅行業者が手配し旅程を管理する義務を負う旅行サービスの範囲は、当該旅行業者が契約書面に記載するところに特定される。

選択肢エ.
旅行業者は、確定書面を交付する場合において、手配状況の確認を希望する旅行者から問い合わせがあったときは、確定書面の交付前であっても、迅速かつ適切にこれに回答する。

 

 

この問題の正解(誤っているもの)は選択肢ウ.です。

募集型企画旅行の旅行条件(日程・サービス内容・代金・責任事項 etc.)は多岐に渡るため、当たり前のように口頭伝達だけではダメで、「必ず書面にして発行(交付)しなさい」と約款で規定されています。(書面に代わる電子データ提供でも可ですが、旅行者の手元にきちんと届いたことを確認する必要があります)
契約の成立時点で発行するものを「契約書面」と呼びますが、中にはそのタイミングではまだ未確定の項目(一部の行程やサービス内容とか)があり得ますので、「残りは何日前までにお知らせします」(もちろん旅行出発より前に)と期日明記した上で後日追加発行できます。そちらが「確定書面」です。

"契約書"と呼んでしまうと少々大袈裟ですが、要は記載必要事項(別途定められています)を網羅していれば事足りるので、「取引条件説明書」や「パンフレット」または「領収書」などで十分カバーできている項目はわざわざ別の書面で発行し直す必要はありません。それらも法的には「契約書面」の一部とみなされます。また、「確定書面」も広義では「契約書面」の一部ととらえられています。

これを踏まえた上で、各選択肢の内容を見ていきましょう。

まず、選択肢ア.は"正しい"内容です。
約款の規定としてはこの通りです(標準旅行業約款 募集型企画旅行契約の部 第9条より)。ただ、前述の通り、「取引条件説明書」他の書類や後日発行の「確定書面」でカバーしきれてしまう可能性があり得ます(それらを全部合わせて「契約書面」)ので、「契約書面」という名前の書面が必ず出てくるとは限りません。

選択肢イ.も"正しい"内容です。
「確定書面」は「契約書面」の発行タイミング(契約成立時)で記載できなかった項目を後日フォローすることが存在意義ですから、既に全うされている場合には登場しません。
引っ掛かる点があるとすれば、「旅行日程、運送若しくは宿泊機関の名称」以外の必須項目は漏れててもよいの?。。。 と思ってしまいますが、まあこれら以外の項目は契約成立タイミングで契約書面に書けてしまうものばかりなので、「わざわざ後日回しにする必然性無し」という意味合いなんでしょうか。ともあれ、イ.の内容は"正しい"(約款の記述に添っています)ので、この通り覚えてください。

一方で、選択肢ウ.は"誤り"(=この問題の正解)です。
もし仮に、この文章が正しいのであれば、何のために確定書面を交付するのか意味がわからない(存在価値がない)ことになってしまいます。
もちろんそんなことはなく、「確定書面に記載するところに特定される」が本来の正しい内容です。

最後に、選択肢エ.は"正しい"です。
確定書面の発行待ち = 行程やサービス内容に未確定箇所があるわけですから、気になる旅行者はそりゃ問い合わせしてくるでしょう。旅行業者はきちんとそれに回答しなさい、ということなのですが、ここでいう回答とは「その場ですぐに確定させてお知らせしなさい」というわけではありません。「すいませんが、もう少しお待ちください」というのも立派な回答です。要は、問い合わせを無視せず、その時点の最新情報を(まだ確定していないという事実を含めて)伝えることが大事なのです。

過去問まとめ(リンクページ)はこちら