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【過去問解説】 モデル宿泊約款 (令和3年出題)

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宿泊施設において宿泊客との契約締結の際に用いられるのが宿泊約款です。
旅行業務試験においては標準的に定められたモデル宿泊約款の内容から出題されます。

令和3年 約款 問題5 配点4点/100点

モデル宿泊約款に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。

選択肢ア.
ホテル(旅館)は、宿泊契約及びこれに関連する契約の履行に当たり、又はそれらの不履行により宿泊客に損害を与えたときは、その損害を賠償する。ただし、それがホテル(旅館)の責めに帰すべき事由によるものでないときは、この限りではない。

選択肢イ.
ホテル(旅館)は、宿泊客がチェックインした後に、ホテル(旅館)が定める火災予防上必要な利用規則の禁止事項に従わないため、当該宿泊客との宿泊契約を解除したときは、宿泊客がいまだ提供を受けていない宿泊サービス等の料金は収受しない。

選択肢ウ.
ホテル(旅館)が宿泊契約の申し込みを承諾するに当たり、申込金の支払いを求めなかった場合及び申込金の支払期日を指定しなかった場合、ホテル(旅館)は、宿泊客が申込金の支払いを要しないこととする特約に応じたものとして取り扱う。

選択肢エ.
宿泊客がホテル(旅館)の駐車場を利用する場合、車両のキーの寄託の如何にかかわらず、当該ホテル(旅館)は場所を貸すものであって、いかなる場合も車両の管理責任を負わない。

 

 

この問題の正解(誤っているもの)は選択肢エ.です。

エ.の文面はモデル宿泊約款第17条「駐車の責任」の内容とかなり近いのですが、「いかなる場合も」の箇所が余分です。
「いかなる場合も」を取り除き、下記の文章を繋げると正しい言い回しになります。
「ただし、駐車場の管理に当たり、当ホテル(館)の故意又は過失によって損害を与えたときは、その賠償の責めに任じます。」
逆に考えると、キーを預けていた場合であってもホテルの責任では無い損害の場合には賠償されないということですね。注意しましょう。

これ以外の選択肢はいずれも"正しい"です。

選択肢ア.はモデル宿泊約款第13条「当ホテル(館)の責任」で規定されています。
なお、この13条では賠償に応じることができるように旅館賠償責任保険に加入している旨も付記されています。

選択肢イ.も"正しい"です。
気になる点は、チェックイン後なのに「いまだ提供を受けていない宿泊サービス等の料金は収受しない」とされているところでしょうか。
ここで言う「火災予防上必要な利用規則の禁止事項」には寝たばこ等だけでなく、消防用設備等に対するいたずらなども含まれるらしいです。
"寝たばこ"であれば想像するにおそらく客室利用料金は免除されないでしょうが、部屋に入る前の"いたずら発覚"であれば客室は利用していなかったとみなされるかもしれません。サービス料の収受有無はタイミングによってケース判断されることでしょう。

選択肢ウ.も"正しい"です。
本来であれば(宿泊約款上では)宿泊契約に伴い、宿泊客は申込金を支払わなければならないことになっています。
ですが、私たちが実際に宿泊した際に申込金を支払ったことがない事例はありますよね。
これは宿泊施設側の判断で、ケース毎に申込金要・不要を切り分けてもよいとされているからです。(約款第4条)
また、上記の判断の際に利用客側の同意はいちいち得る必要もありません。これがウ.の文面に書かれた「申込金の支払いを要しないこととする特約に応じたものとして取り扱う」の正体です。宿泊施設側から申込金の話が出なかったら自動的にその合意が成されたことになるのです。

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