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【過去問解説】 標準旅行業約款「変更補償金」その2 (令和4年出題)

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前回の約款問題(10/23付記事参照)に続いて、今回も「変更補償金」に関する出題です。
「変更補償金」は事例を交えて正誤を確認する形式が一番わかりやすいです。こういう問題を通じて覚えましょう。

令和4年 約款 問題1(15) 配点4点/100点

標準旅行業約款に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
募集型企画旅行契約の部及び受注型企画旅行契約の部「旅程保証」に関する次の記述のうち、変更補償金の支払いを要するものはどれか(いずれも変更補償金を支払う場合に、その額は約款が定める支払いが必要な最低額を上回っているものとする。)。

選択肢ア.
確定書面に「A旅館露天風呂付き和洋室」の客室と記載されていたが、A旅館の過剰予約受付により、同じ「A旅館の露天風呂なし洋室」の客室に変更になったとき。

選択肢イ.
確定書面に「新幹線やまびこ号グリーン車指定席」と記載されていたが、当該新幹線が運休となったため、後続の「新幹線やまびこ号普通車指定席」に変更になったとき。

選択肢ウ.
確定書面に「Aホテル利用」と記載されていたが、Aホテルが休業したことにより、契約書面に利用予定ホテルとして記載のなかった「Cホテル」に変更になったとき。

選択肢エ.
確定書面に「福岡空港新千歳空港行きA航空直行便」と記載されていたが、航空会社の過剰予約受付により、「A航空の福岡空港中部国際空港乗り継ぎで新千歳空港着」に変更になったとき。

 

 

「変更補償金」について再度おさらいしておきましょう。
旅行業者に非が無く、かつ天災地変や運休・宿泊施設休業など止むを得ない事情を除いた「契約内容の重要な変更」が発生したときに、旅行者に支払われる"見舞金"の性格をもった補償でしたね。
「契約内容の重要な変更」に当てはまるケースかどうかは、標準旅行業約款(募集型企画旅行契約の部又は受注型企画旅行契約の部)の別表第二の箇所を見れば列挙されていますので、それに照らし合わせるだけです。今回の問題を解く上では、その「重要な変更」に至った経緯(理由)がポイントになりますのでそこに着目しましょう。

この問題の正解(変更補償金の支払対象となるケース)は選択肢ア.です。

まず、ケースが当てはまるかどうかは、前述の"別表第二"を見ると8番目の「契約書面に記載した宿泊機関の客室の種類、設備、景観その他の客室の条件の変更」に当たるのがわかりますね。ちなみにこの場合(ホテル自体は同じ)では部屋のグレードが良くなったか悪くなったかは関係ありません(旅行者にとって上等の客室に変わったと感じても変更は変更)。同じパターンでは景観の変更(例えばオーシャンビューの部屋かそうでないか)もよく出題されます。
ぶっちゃけて言えば、確定書面(または契約書面)に"露天風呂付き和洋室"とか"オーシャンビュー"とか最初から書いてなければこの変更は無かったことになるのですが、旅行者にそのサービスを約束してしまっていたのだから仕方ありません。
続いて、その変更に至った経緯(理由)です。このケースでは「A旅館の過剰予約受付」(過剰予約受付=オーバーブッキング という言葉も覚えておきましょう)となっており、オーバーブッキングで客室がたりなくなったことは変更補償金適用となる代表的な例です(サービス提供者に落ち度があり、"止むを得ない事情"でもない)。
これで、内容と経緯が両方当てはまりましたので、選択肢ア.では変更補償金が支払われます。

それ以外の選択肢では変更補償金は適用されません。それぞれなぜなのかを見ていきましょう。

まず、選択肢イ.では「重要な変更」には当てはまります。
"別表第二"の3番目「契約書面に記載した運送機関の等級又は設備のより低い料金のものへの変更」ですね。運送機関のケースでは、先ほどの選択肢ア.の宿泊施設と違って、グレードが下がった場合に限りますので併せて覚えておきましょう。
にも関わらず、適用対象外なのは、経緯(理由)が"止むを得ない事情"だからです。約款で定める"止むを得ない事情"には、天災地変や戦乱・暴動などわかりやすい緊急避難の他、「運送機関が運休した場合」も含まれています。実際に迷惑をこうむったのは事実ですが、ルールでこのように規定されています。

選択肢ウ.も同様のパターンです。
"別表第二"の7番目の「契約書面に記載した宿泊機関の種類又は名称の変更」に相当します。このケースは少しややこしいのですが、先ほどの選択肢ア.と異なり、ホテルのランクが上がった場合は適用外とされます(ホテルのランクとは、旅行のパンフレット等によく書かれている「Aランクホテル」「Bランクホテル」のようにその旅行業者が自社判断で定めたものです)。
この問題ではたまたまホテルのランクについて触れていないので曖昧なのですが、それ以前に「宿泊施設の休業」が先ほどと同じく"止むを得ない事情"に当たるので、結局のところ適用対象外となってしまいます。

選択肢エ.は今回の問題で一番迷うケースでしょう。
まず先に、「航空会社の過剰予約受付」と書かれているので経緯(理由)の方はバッチリですね。これに引っ掛かって選択肢エ.を選んでしまった方もいらっしゃるのでは・・・
残念ながら今回は「重要な変更」の方に当たりません。エッ? "別表第二"の6番目の「直行便の乗継便又は経由便への変更」じゃないの? と早合点しがちですが、このケースは国内空港と海外空港の間の便(つまり出入国便)に限るのです。要するに国内旅行では出てこない事例です。

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