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【過去問解説】 旅行業法「取引条件の説明」 (令和4年出題)

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いよいよ旅行者との契約に繋がる最終ステップ「取引条件の説明」の登場です。
ここをおろそかにすると後々のトラブルの種になりますので、細心の注意が必要です。

令和4年 法令 問題(12) 配点4点/100点

旅行業法及びこれに基づく命令に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
次の記述のうち、旅行業者等が企画旅行契約を締結しようとする場合にあって、その取引の条件について旅行者に説明しなければならない事項として定められていないものはどれか。

選択肢ア.
旅程管理業務を行う者が同行しない場合にあっては、旅行地における企画者との連絡方法

選択肢イ.
旅行に参加する資格を定める場合にあっては、その旨及び当該資格

選択肢ウ.
旅行の目的地を勘案して、旅行者が取得することが望ましい安全及び衛生に関する情報がある場合にあっては、その旨及び当該情報

選択肢エ.
旅行中の損害の補償に関する事項

 

 

旅行業者が旅行者と契約を結ぶタイミングでは、実は3つの手続があり、
取引条件の説明 ・・・ この問題(問題番号12)で解説
取引条件説明書面の交付 ・・・ 問題番号13で解説予定
契約書面の交付 ・・・ 問題番号14で解説予定
という念の入れようです。それだけ旅行業務試験においてこのプロセスが重要視されている裏付けでもあり、実際に過去問でも毎年のようにこれらが出てきます。

具体的には、それぞれの手続の際に必要な(盛り込まなければいけない)項目が列挙されているので、それを覚えることも大事なのですが、一方で、
取引条件の説明時には必要で、契約書面には要らない項目
取引条件の説明には含まれないが、契約書面には載せる項目
がいくつかあります。その違いをしっかり覚えておくことでいち早く正解に辿り着ける場合もあるのでおススメです。

これを踏まえてこの問題を見てみると、正解(取引条件の説明時には要らないもの)は、選択肢ア.であることがわかります。

これは、先ほど述べた「取引条件の説明には含まれないが、契約書面には載せる項目」の一例です。
細かく言えば、旅程管理業務を行う者(添乗員のことを指す)が同行しない旨はおそらく既に説明済です。仮にあえて取引条件の説明に入れなくてもパンフレットにはそう書いてあるでしょう。(この場合、パンフレットも取引条件説明書の一部とみなされます)
事前説明しなくてよいのは「旅行地における企画者との連絡方法」の部分です。これは問題番号14で解説する「契約書面の交付」の際の記載必要事項です。
では、なぜ事前説明しなくてよいのかと言えば、この段階ではその旅行者が契約に至るかまだ確定していない(やめるかもしれない)からです。
「旅行地における企画者との連絡方法」とは、単に旅行業者の代表電話番号ではなく、別の直通回線(今どきならメールかSNS?)だったりすることもあり得るので、契約前に公表する類のものではなく、契約者オンリーで通知すればよいという判断でこうなっているのでしょう。

それ以外の選択肢は、いずれも取引条件の説明項目に含まれます。
具体的には「旅行業者等が旅行者と締結する契約等に関する規則」(平成二十一年内閣府国土交通省令第一号)にこの項目の一覧が載っていますので、検索して併せて参照ください。場所は第3条のところです。

選択肢イ.は、別表一覧の"ワ"の項にあります。
参加資格のわかりやすい例としては、性別(例えば女性限定ツアーとか)や年齢(例えば子供の参加は不可)などが挙げられます。この条件を"後出し"にしたら大変ですね。実際には説明の中で、申込者がその条件に当てはまるか(複数人の団体・グループ契約であれば全員分に対して)その確認をするやり取りがあるはずです。

選択肢ウ.は、別表一覧の"ヨ"の項です。
これまた事前説明が妥当な項目の一つですね。内容にもよりますが、旅行者によってはこのことで「やっぱりやめた」となり得ますので、これも"後出し"厳禁の項目です。

選択肢エ.は同じく"ヲ"にあります。
これは上の2つほどには「やっぱりやめた」には繋がりませんが、やはり契約事に関して補償の云々は重要項目です。
現実には補償があることはもはや当然に近く、具体的な補償のラインナップが語られるケースも多いでしょう。

ちなみに、上記の3項目はいずれも「取引条件説明書」「契約書面」でも掲載が必要な重要項目です。
口頭説明が必要なことはもちろん、後々まで残る書面に載せておくことで、旅行者・旅行業者双方の利便や保全を図ります。

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