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【過去問解説】 旅行業法「企画旅行の広告」 (令和4年出題)

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募集型企画旅行のパンフレット(もしくは新聞広告等)は一度はご覧になったことがあるでしょう。
各社各様でいろいろな項目が所狭しと並んでいるように見えますが、これまた記載必須事項の定めがきちんと設けられているのです。

令和4年 法令 問題(16) 配点4点/100点

旅行業法及びこれに基づく命令に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
次の記述のうち、企画旅行に参加する旅行者を募集するための広告の表示事項として定められていないものはどれか。

選択肢ア.
旅行者が旅行業者等に支払うべき対価

選択肢イ.
全国通訳案内士又は地域通訳案内士の同行の有無

選択肢ウ.
企画者の氏名又は名称及び住所並びに登録番号

選択肢エ.
旅程管理業務を行う者の同行の有無

 

 

もし、お手元にどこでもよいので旅行会社の募集型企画旅行パンフレット等があれば一緒に見てみましょう。

「企画旅行の広告」は旅行業法第12条の7に出てきます。ここの本文の中でも、
・当該企画旅行を実施する旅行業者の氏名又は名称
・旅行の目的地及び日程
・旅行者が提供を受けることができる運送等サービスの内容
・旅行者が旅行業者等に支払うべき対価に関する事項
・第12条の10の国土交通省令で定める措置を講ずるために必要な業務を行う者(要は旅程管理業務を行う者=添乗員)の同行の有無
は列挙されています。
より詳細に確認したい方は「旅行業者等が旅行者と締結する契約等に関する規則」(平成二十一年内閣府国土交通省令第一号)を検索してください。第13条のところです。

パンフレット・新聞広告等は、旅行者がまず最初に(当たり前ですが営業所での取引条件説明より前に)目にするものです。規定に定められるまでもなく、申込に行こうかなあ(あるいは説明を聞きに)というアクションを起こすだけの情報は詰め込まれていなければ意味がありません。
「旅行の目的地及び日程」「旅行者が提供を受けることができる運送等サービス(宿泊施設も同様)の内容」は言うまでもありませんね。これが気にならない(どういう内容でも構わない)旅行者は皆無だと思います。
ちなみに余談ですが日頃思うところがあって、「ミステリーツアー」の場合はどうなっているんでしょうね。さすがに日程は記載されていますが、目的地や運送機関・宿泊施設は伏せられているままです。"往復航空機利用"、"北海道の某有名温泉地"とかそんな程度の感じですね。これはこれで商品としてありなんでしょうが、規則には「ミステリーツアーの場合は除く」ともなんとも書いていないので釈然としません。特例で認可?常識的に許容できるので黙認?

次に目が留まるのは、選択肢ア.にある「旅行者が旅行業者等に支払うべき対価」でしょう。これも広告記載必須事項です。
正確には「支払うべき対価及びその収受の方法」と言うべき内容で、先に挙げた「目的地及び日程」「旅行サービスの内容」とともに、広告・取引条件説明・契約書面の3点セットで必須事項です。
出発日(平休日やハイシーズン等)によって費用が異なるのもよく見かけるケースです。これにも実は決まりがあって、「その最低額を表示するときは、併せてその最高額を表示すること」なのだそうです。"1.2万~2.4万円"はOKですが、"1.2万円~"ではダメということですね。

選択肢ウ.の「企画者の氏名又は名称及び住所並びに登録番号」も広告を見れば必ず書いてあるはずです。
"企画者名"は一般には旅行業者名であって、いわゆる「プランナー」個人名のことではありません(個人事業主の旅行業者は別ですが)。名称だけでなく、住所や登録番号を併記させることで、よく似た名前の旅行業者との誤認を防ぐ効果があります。

次は、選択肢エ.を見てみましょう。エ.の「旅程管理業務を行う者(=添乗員)の同行の有無」は結構な割合で関心がもたれます。
旅慣れた方であれば、むしろ"自由に行動できる"添乗員無しツアーを選ぶ方もいらっしゃるでしょう。逆に、添乗員が居れば何かと安心という方々は添乗員無しツアーは敬遠する傾向があります。
前述した通り、添乗員有無は旅行業法本文の中の方でも登場するぐらいなので、重要項目の位置付けなのでしょう。ただ、面白い点が一つあって、この項目は広告記載が義務付けられていますが、取引条件説明や契約書面では必須になっていないことです。不思議ですね。
現実的には、取引条件説明(口頭)の中で、念押しのように「添乗員無しですが構いませんね?」とか聞かれるはずだと思います。広告だけでは旅行者本人の見落としがあるやもしれないのでその防護策として。

最後に残した選択肢イ.が広告非掲載項目、つまりこの問題の正解です。
「全国通訳案内士又は地域通訳案内士の同行の有無」に出てくる"通訳案内士"とは、私たち日本人が海外旅行に出かけるときの現地通訳ガイドと同じ感覚で、訪日観光客が日本国内ツアーを利用する際に付く役割の方です。日本人が国内旅行を利用する際にはほぼこの通訳さんは必要ないので、広告でなかなかこの記載を見かけることはないでしょう。
ただ、実際には訪日観光客もいらっしゃることだし、いろいろなケースも想定して、この項目は取引条件説明・契約書面では必須とされています。

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