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【過去問解説】 標準旅行業約款「旅行業者の責任」ほか (令和4年出題)

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この問題では、旅行業者・旅行者双方の"責任"について取り上げています。
このうち、旅行業者側の責任では主に賠償や補償のことに触れます。

令和4年 約款 問題1(12) 配点4点/100点

標準旅行業約款に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
募集型企画旅行契約の部「旅行業者の責任」「旅行者の責任」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

選択肢ア.
国内旅行において、旅行業者が重大な過失により旅行者の手荷物に損害を与えたときは、旅行業者は旅行者1名に対し、手荷物1個につき15万円を限度として賠償する。

選択肢イ,
契約の履行に当たって、旅行業者の手配代行者が故意又は過失により旅行者に損害を与えたときは、当該手配代行者がその損害を賠償する責に任じ、旅行業者はその責に任じない。

選択肢ウ.
旅行者は、旅行開始後において、契約書面に記載された旅行サービスを円滑に受領するため、万が一契約書面と異なる旅行サービスが提供されたと認識したときは、旅行終了後速やかにその旨を旅行業者に申し出なければならない。

選択肢エ.
旅行業者は、国内旅行において、旅行業者の故意又は過失により旅行者の手荷物に損害を与えたときは、損害発生の翌日から起算して、14日以内に当該旅行業者に対して通知があったときに限り、その損害を賠償する。

 

 

旅行業者の責任(賠償や補償)のうち、近年の旅行業務試験でも頻出の「特別補償」や「変更補償金」については、このあとの問題で出てきますのでそちらで解説します。

この問題の正解(正しいもの)は選択肢エ.です。

手荷物の損害賠償の規定は、選択肢ア.とエ.に関係していますので、まとめて解説します。約款第27条では、
・旅行業者または手配代行者の故意又は過失による手荷物への損害
・旅行者1名につき、15万円を限度とする(ただし、故意又は重大な過失の場合はこの限りでない)
・損害発生の翌日から起算して、14日以内(国内旅行の場合)または21日以内(海外旅行の場合)に通知が必須
と定められています。
選択肢エ.は上記の通りで"正しい"のですが、選択肢ア.は「手荷物1個につき15万円」としているので"誤り"です。より正確に言えば、選択肢ア.は"重大な過失"となっているので"限度不問"と見るのが妥当です。

選択肢イ.は"誤り"です。
旅行業者自身であっても手配代行者であっても、故意又は過失により旅行者に損害を与えた場合は旅行業者に賠償の責任があります。
ただ、この問題には出てきていませんが、請求(通知)の期限が「損害発生の翌日から起算して2年以内」となっており、それを越えると無効です。
(先ほど出てきた14日or21日以内は手荷物の損害に限ります。ここでいう2年以内は手荷物以外の損害の場合。)

選択肢ウ.も"誤り"です。
これは約款第30条「旅行者の責任」に出てくる一節ですが、次の箇所が違っています。
・「旅行終了後速やかに申し出」ではなく、「旅行地において速やかに申し出」すればよい
・申告先は旅行業者(添乗員を含む)だけでなく、手配代行者宛や実際に契約と異なるサービスを提供した当事者(運送機関・宿泊施設など)に対してでも構わない
要は、気が付いたらすぐその場で言いましょう、ということです。

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