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【過去問解説】 標準旅行業約款「団体・グループ契約」ほか (令和4年出題)

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募集型企画旅行(パッケージツアー)にお一人で参加される方というのは少数派では?
比較的多くのケースが、実はここで挙げる「団体・グループ契約」に相当するのではないかと考えます。

令和4年 約款 問題1(10) 配点4点/100点

標準旅行業約款に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
募集型企画旅行契約の部「団体・グループ契約」「契約責任者」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

選択肢ア.
同じ行程を同時に旅行する複数の旅行者は、その責任ある代表者を定めて、旅行業者に契約を申し込むことができる。

選択肢イ.
旅行業者は、特約を結んだ場合を除き、契約責任者は構成者の契約の締結に関する一切の代理権を有しているものとみなす。

選択肢ウ.
契約責任者は、旅行業者が定める日までに、構成者の人数を旅行業者に通知すれば、構成者の名簿を提出することを要しない。

選択肢エ.
旅行業者は、契約責任者が構成者に対して現に負い、又は将来負うことが予測される債務又は義務については、何らの責任を負うものではない。

 

 

例えば、ご夫婦やカップルが募集型企画旅行に参加されるのであれば、連れ立って営業所に訪れて一緒に説明を聞くこともあるでしょう。
もしこれが知人どうしだったら?大人数だったら? どなたか代表の方にお任せすることもあるかと思います。
このよくあるケースを想定しているのが「団体・グループ契約」です。何も参加者全員が都合を合わせて列席する必要はなく、最低そのうちのお一人が来店すれば全員分の契約を締結することができるのです。

今回は選択肢を"正しい"ものから順に見ていきましょう。

まず、選択肢ア.は、この「団体・グループ契約」の説明通りで"正しい"です。"責任ある代表者"のことを「契約責任者」と呼びます。
もしこの規定が無ければ、参加者お一人お一人が説明を聞き、個々に契約して支払しなければいけないところです。旅行者・旅行業者側双方の手間を軽減していると言えます。

選択肢イ.とエ.も"正しい"です。約款らしく、責任(権利と債務・義務)の話もきちんと押さえています。
契約責任者は全員分の契約を代理で行える一方で、
・取引条件の説明など伝達事項は原則契約責任者に対して行えばよい。残りの参加者への伝達は契約責任者の責任。
・支払も契約責任者がまとめて行うことがある。グループ内で集金等が必要であれば、それは契約責任者が取りまとめる。
等々、以後のやり取りは基本的に旅行業者と契約責任者の間で交わされます。残りの参加者とは旅行当日まで顔を合わせないこともあります。
大人数のグループの場合がイメージされますが、例えばご家族であっても、どなたかお一人がまとめてサインして一緒に支払するのであれば話は同じです。なので、まあよくあるケースと言えましょう。

最後に、選択肢ウ.が"誤り"で、この問題の正解です。
もし仮に、この通り人数の通知だけでよい、となってしまえば極論で言えば旅行業者側では性別も年齢も何もわかりません。これでは部屋割りをはじめ参加条件の確認などいろいろ支障をきたしそうですね。
もちろんそんなことはなく、条文(約款第22条)では「構成者の名簿を提出すること」(指定する日までにであって契約当日とは限らない)となっています。実はここに隠れたポイントがあり、契約当日時点の参加予定者が代わった場合であっても、名簿提出日までに交替が間に合えば「旅行者の交替」(約款第15条参照)には当たらないのです。

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