【過去問解説】 標準旅行業約款「旅行代金の払戻し」ほか （令和4年出題）
キャンセルや一部契約解除に伴う旅行代金の返金規定です。
この問題においては期日（いつまでに）が問われていますので、そこも含めてしっかり押さえておきましょう。
令和4年 約款 問題1（9） 配点4点/100点
標準旅行業約款に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から１つ選びなさい。
募集型企画旅行契約の部「旅行代金の払戻し」「契約解除後の帰路手配」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
選択肢ア．
旅行開始後に旅行業者が契約の一部を解除した場合において、旅行者に対し払い戻すべき金額が生じたときは、旅行業者は、契約書面に記載した旅行終了日の翌日から起算して30日以内に当該金額を払い戻す。
選択肢イ．
旅行開始前に契約内容の変更により旅行代金を減額したとき、旅行業者は、旅行者に対し契約内容の変更が生じた日から起算して30日以内に当該金額を払い戻す。
選択肢ウ．
旅行業者は、通信契約を解除した場合において、旅行者に対し払い戻すべき金額が生じたときは、提携するクレジットカード会社のカード会員規約に従って、当該旅行者に対し当該金額を払い戻す。
選択肢エ．
旅行者が病気により旅行の継続に耐えられないという事由で、旅行開始後に旅行業者が契約を解除したときは、旅行業者は、旅行者の求めに応じて、旅行者が当該旅行の出発地に戻るために必要な旅行サービスの手配を引き受ける。
約款第19条「旅行代金の払戻し」では、
・旅行代金が減額されたとき（約款第14条参照）
・旅行契約が解除または一部解除されたとき（同16条～18条参照）
の払戻し（返金）について規定されています。
ただ、具体的な話は特に何もなく、ここでは「いつまでに返金するか（期限）」と通信契約の場合の返金（後述します）が書かれているぐらいです。
さて、この問題の正解（誤っているもの）は、選択肢イ．です。
先ほど述べた通り、この項で覚えておくことはほぼ"期日"ぐらいしかありません。
・旅行開始前の解除に伴う返金 ・・・ 解除の翌日から起算して7日以内
・旅行代金の減額に伴う返金 ・・・ 旅行終了日の翌日から起算して30日以内
・旅行開始後の一部解除に伴う返金 ・・・ 旅行終了日の翌日から起算して30日以内
"減額"と"旅行開始後の一部解除"の場合は同じです。
対して、選択肢イ．の文面では、「契約内容の変更が生じた日から起算して30日以内」となっています。こんな規定はなく"誤り"です。
この設定がおかしい（妥当でない）根拠としては、一部推測ですが、「全日程が終了しないと精算額が確定しない」ことが考えられます。発生都度いちいち個々に精算していては大変そうですね。
上記はあくまで私の想像ですが、まあここは規定通りで「旅行終了日の翌日から起算して30日以内」と覚えておいてください。
選択肢ア．は"正しい"です。
こちらは約款に規定された内容通りの期日です。同じくなぜ契約解除日基準になっていないのか理由は明かされていませんが、
・全てキャンセルした場合の返金 ・・・ 解除日基準
・そうでない場合の返金 ・・・ 旅行終了日基準
大きく分けてこの2つになるので、そのまま覚えるのが吉です。
選択肢ウ．も"正しい"内容です。
これは通信契約（クレジットカード利用）の場合の返金規定です。
旅行業に限らず、世間でクレジットカードを利用し、何らかの理由で返金を受けるケースと一緒なので問題ありませんね。
この場合、現金で払戻しはされず、クレジットカードの引き落とし口座に精算額が入金されます。
それ以外の条件（前述した"期日"を含む）は同じです。
選択肢エ．は払戻しではなく、契約の一部解除に伴う「帰路手配」の規定です。
約款の第20条にありますが、この内容も"正しい"です。
「旅行者が病気により旅行の継続に耐えられない」ケースは、旅行開始後の旅行業者側からの解除条件に定められています（約款第18条）が、さすがに現地に置き去りのままではしのびないので、当該旅行者が希望すれば別途実費等負担ですが、出発地に戻る旅行サービス手配を引き受けることになっています。
いわゆる"救済措置"で、他のケースでは「天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の旅行業者の関与し得ない事由」での契約一部解除にも適用されます。
片や、例えば「旅行者が団体行動の規律を乱し、当該旅行の安全かつ円滑な実施を妨げたとき」など明らかに旅行者側に非がある場合の契約解除では、そこまで旅行業者が対応する義務はありません。
