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【過去問解説】 標準旅行業約款「旅程保証」その1 (令和3年出題)

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万全な企画であっても必ずしもその行程通りに進まないこともままあります。
そのような事態になったときに備えて設けられているのが「旅程保証」です。

令和3年 約款 問題1(14) 配点4点/100点

標準旅行業約款に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
募集型企画旅行契約の部及び受注型企画旅行契約の部「旅程保証」に関する次の記述から、正しいもののみをすべて選んでいるものはどれか(いずれも変更補償金を支払う場合に、その額は約款が定める支払いが必要な最低額を上回っているものとする。)。

a.旅行業者は、約款に定める契約内容の重要な変更が生じた場合において、変更補償金を支払うこととなったときは、旅行終了日の翌日から起算して30日以内に当該変更補償金を旅行者に支払う。
b.旅行業者は、旅行参加者の生命又は身体の安全確保のために必要な措置を講じたことにより、約款に定める契約内容の重要な変更が生じた場合は、旅行者に変更補償金を支払う。
c.旅行業者は、旅行者に対し変更補償金を支払った後に、当該変更について旅行業者に責任が発生することが明らかになった場合には、当該変更に係る変更補償金に加え損害賠償金を支払う。
d.航空会社の過剰予約受付により、確定書面に記載されていた利用予定の航空会社が、契約書面において限定して列挙した他の航空会社に変更となった場合においては、旅行業者は、旅行者に対し所定の変更補償金を支払わなければならない。

選択肢ア. a,d
選択肢イ. b,c
選択肢ウ. b,c,d
選択肢エ. a,b,c,d

 

 

この問題では、設問文a.から順に正否を見ていきます。

まず、a.の内容は"正しい"です。
変更補償金は「旅行終了日の翌日から起算して30日以内」に支払われることで合っています。

続いてb.ですが、こちらは"誤り"です。
仮に契約内容に"重要な変更"が発生した場合でも、特定の理由(主として止むを得ないもの)による場合は変更補償金の支払対象外となります。
b.に挙げた「旅行参加者の生命又は身体の安全確保のため必要な措置」の他には、
・天災地変、戦乱、暴動
・官公署の命令
・運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止
・当初の運行計画によらない運送サービスの提供
などがこれに当たります。

c.も"誤り"です。
旅行業者に責任が無い場合の変更補償金と旅行業者に責任があった場合の損害賠償金は重複適用されません。
もし仮に、先に変更補償金が支払われた後で(その時点では旅行業者には責任が無いと思われていた)、実は旅行業者の責任であったことが判明した場合には、損害補償金と変更補償金の差額だけが追加支払いされるという規定になっています。
(この処置の結果、損害補償金の金額分が支払われたこととなり、変更補償金は無かった扱いになる)

最後のd.は"正しい"です。
運送機関・宿泊施設の過剰予約受付(オーバーブッキング)による旅行内容変更は変更補償金支払いの代表的事例です。
約款の文中で「運送・宿泊機関等が当該旅行サービスの提供を行っているにもかかわらず、運送・宿泊機関等の座席、部屋その他の諸設備の不足が発生したことによるもの」とあるのはこの状況を指します。
ちなみに、列車や航空便の運休や宿泊施設の休業の場合はこれとは異なります。(b.の説明にあった通り変更補償金の対象外)

以上により、この問題の正解(正しいものの組み合わせ)は選択肢ア.(a,d)となります。

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