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【過去問解説】 吾妻峡ほか (令和4年出題)

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今回は正真正銘の"川下り"選択問題です。
関東の方に有利かな。他の地方の方は多少苦戦されたかもしれません。

令和4年 国内実務 問題7(3) 配点2点/100点

次の文章を読み、以下の設問について該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。

山が多く水に恵まれた我が国には河川が多く、各地に"川下り""ライン下り""舟下り"などと呼ばれる河川を利用した観光資源が存在する。
川下りには、急流のスリルを楽しむものや町中の水路から景色を楽しむものなど、さまざまなタイプがあるが、亀岡から(a)嵐山までの保津川を下る「保津川下り」は急流のスリルと渓谷美が人気。
一方、砂鉄川沿いの奇岩で知られる「(b)猊鼻渓舟下り」では船頭が唄う"げいび追分"と共にゆっくりと景色を楽しめるほか、国の名勝・天然記念物に指定された名所であり"岩畳"で知られる荒川上流域の「 ライン下り(荒川ライン下り)」はコースによって急流も緩やかな流れも楽しめる。
また、北原白秋のふるさと(c)柳川の「川下り」のように市内にめぐらされた堀割を舟で行き来するものや、水郷・(d)潮来の「十二橋めぐり」のように水路から街の景色を楽しむものなどもあり、さまざまな川下りは老若男女を問わず人気が高い。

◎問題
  に入る観光地として最も適当なものは、次のうちどれか。

選択肢ア. 吾妻峡 
選択肢イ. 長瀞
選択肢ウ. 寝覚の床 
選択肢エ. 龍王

 

 

前回までの(9月25日、10月1日記事参照)"近隣観光地"(ロケーション)問題ではなく、ちゃんと特徴から川下り観光地を選ぶ問題も出題されました。

この問題の正解(説明に当てはまる観光地)は、選択肢イ.の長瀞(ながとろ)です。

江戸川区江東区境で東京湾に注ぐ荒川は、埼玉県西部の秩父市を源流とし、秩父鉄道が寄り添うように一旦北東方向の熊谷市方向へ流れます。その途中にあるのが有名観光地となった長瀞です。
設問文に出てきた"岩畳"は、地中深く沈んだ海洋プレートが圧力と熱の変性で結晶片岩という独特な形状となり、その後隆起してこの地に現れたもので、学術的にも価値があるものです。
この辺りは川の流れが緩やかになりつつも、適度に急流が残っているのでまさに川下りの適地と言えましょう。"ライン下り"を名乗る川下りは各地にありますが、特に関東近辺の方はまずここを思い出す方も多いようです。


 

選択肢ア.は過去問の選択肢でよく見かけますが、実は2箇所あってどちらを指すのかはっきりしません。
一つは埼玉県飯能市にある入間川の吾妻峡(あづまきょう)。もう一方が、群馬県東吾妻町長野原町にある吾妻川の吾妻峡(あがつまきょう)です。読み方も違います。
両者ともそれなりの渓流観光地と言えますが、国指定名勝である群馬県側の方が一歩上という感じでしょうか。
出題者はどっちを出したかったのか気になりますが、"正解"選択肢でないので設問文で特徴が述べられずわからずじまいです。
ただ、どちらにしろ荒川ではないですし、川下りもありません。

選択肢ウ.の寝覚の床(ねざめのとこ)は、御嶽山にもほど近い長野県上松町にあり、他の3選択肢とは離れた位置にあります。
木曽川の流れにより花崗岩が浸食され、大きな箱を並べたような造形の岩肌を見せていますが、これは現在の姿で、かつては(ダムなどによる水利開発以前は)もっと水量が多く、岩の見え方が違っていたそうです。
川沿いを走るJR中央線からも一望でき、特急「しなの」の徐行運転や車掌による車窓解説でも知られていました。

選択肢エ.の龍王峡(りゅうおうきょう)は、栃木県の日光市鬼怒川温泉から北方向の鬼怒川上流部にあります。
龍が暴れまわったような険しい岩壁の景観が「龍王峡」の語源となったこの地は、温泉地とのセット観光で訪れる観光客が多く、遊歩道によるハイキングで渓流や滝を楽しみます。
また、実はこの近くにも"ライン下り"がありますが、龍王峡ではなく、下流で少し川幅の広がった鬼怒川温泉の場所です。


 

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