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【過去問解説】 旅行業法「営業保証金」関連 (令和4年出題)

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いざ旅行業を開業するにあたっては、人的要件だけでなく資産要件も必要です。これがなかなか一般人にはハードルが高いのですが。。。
この問題では資産要件の一つである「営業保証金」を取り上げています。

令和4年 法令 問題(7) 配点4点/100点

旅行業法及びこれに基づく命令に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
営業保証金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

選択肢ア.
旅行業者は、毎事業年度終了後において、その供託している営業保証金の額が所定の額に不足することとなるときは、その不足額を毎事業年度終了後において、その終了の日の翌日から100日以内に追加して供託しなければならない。

選択肢イ.
旅行業者は、営業保証金を供託し、供託所から供託物受入れの記載のある供託書の受領後、直ちにその事業を開始することができる。

選択肢ウ.
第2種旅行業の新規登録を受けた者が供託すべき営業保証金の額は、登録の申請時に添付した書類に記載した旅行業務に関する旅行者との年間取引見込額が400万円未満の場合にあっては、1,100万円である。

選択肢エ.
営業保証金は、旅行業者の主たる営業所の最寄りの供託所に国債証券、地方債証券その他の国土交通省令で定める有価証券をもって、供託することができる。

 

 

ある旅行業者と取引をした旅行者が、その取引の結果で何らかの債権を得た場合、直接その業者から支払ってもらえればよいのですが、万が一のときのために公的な弁済制度が設けられています。
これが「営業保証金」で、各旅行業者はあらかじめ登録時に国へ供託金を収めておき、前述の旅行者は登録行政庁に事実証明を受けた上で、この供託金の中から還付を受けることができるのです。

さて、この問題の正解(誤っているもの)は選択肢イ.です。

正しい規定は、旅行業法第7条「営業保証金の供託」第3項にあります。
営業保証金の供託→供託物受入れの記載のある供託書の受領 とここまではよいのですが、あと1ステップあって、その供託書の写しを提出しなければいけないのです。
供託所から登録行政庁に連絡を回してもらえれば済みそうな気もしますが、旅行業法に明記されたルールなので仕方ありません。写しを出さずに(出し忘れて)フライングで事業を開始してしまうと旅行業法違反となります。

残りの選択肢は全て"正しい"です。

解説の都合上、まず先に選択肢ウ.から述べます。
営業保証金の金額は、登録種別(第1種・第2種・第3種・地域限定)と「前事業年度における旅行業務に関する旅行者との取引の額」から決まります。このケースでは新規登録(=まだ"前事業年度"は存在しない)ので、後者の年間取引額は見込で算出します。
登録種別と年間取引額の組み合わせの一覧表もありますが、全部覚えるのは非常に大変なので、旅行業務試験で最も出やすい"セット"をおすすめします。
第1種 7,000万円、第2種 1,100万円、第3種 300万円、地域限定 100万円、百万円単位に置き換えると 70百万・11百万・3百万・1百万。
これの語呂合わせで「なお11歳」というフレーズが人気です。
 
続いて、選択肢ア.ですが、営業保証金というのは一度供託すればずっと継続できるとは限りません。
選択肢イ.の第2種旅行業者でいえば、1,100万円で通用するのは年間取引額が7億円未満の場合。7億円以上となった翌年度は1,300万円に増額されてしまうのです。
つまり、不足した200万円を追加供託しなければいけません。
この規定が旅行業法第9条「営業保証金の追加の供託等」です。期限には猶予があり「毎事業年度終了の日の翌日から100日以内」となっています。(新規登録だと「登録の通知を受けた日から14日以内」)

選択肢エ.はよく見ると2つの内容から成っていますが、どちらも"正しい"です。
・営業保証金は、旅行業者の主たる営業所の最寄りの供託所に供託できる ・・・ 合っています。というより最寄りの供託所じゃなきゃダメ。
・営業保証金は、国債証券・地方債証券・その他の国土交通省令で定める有価証券を充てることができる ・・・ 合っています。ここには書いてないですが現金も当然OK。
"その他の国土交通省令で定める有価証券"が何なのか少し気になりますが、そこまで深く掘り下げなくてもたぶん大丈夫です。(旅行業法施行規則には細かい規定と有価証券の価額算出方なども一応載っていますが)

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