【過去問解説】 JR運賃・料金計算その1 (令和4年出題)
定番のJR運賃・料金計算問題です。
まずは、運賃計算に必要なキロ数の求め方から。
令和4年 国内実務 問題4(2)-1 配点4点/100点
旅客鉄道会社(JR)に関する以下の設問について、選択肢の中から答を1つ選びなさい。
次の経路による行程で大人1人が乗車する場合について、設問に該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
(注1)この行程の乗車に必要な乗車券類は、最初の列車の乗車前に全て購入するものとする。
(注2)6月9日の新大阪駅では新幹線の改札口を出ないで、「のぞみ」に乗り継ぐものとする。
(注3)この行程において途中下車となる駅は湯田温泉駅と出雲市駅である。
(注4)山口線は地方交通線である。
◎行程
6月9日(木)閑散期
米原駅→東海道新幹線「こだま」普通車自由席→新大阪駅→山陽新幹線「のぞみ」普通車指定席→新山口駅→山口線普通列車普通車自由席→湯田温泉駅
米原駅~湯田温泉駅 営業キロ591.4キロ、運賃計算キロ596.8キロ
6月10日(金)通常期
湯田温泉駅→山口線・山陰本線特急「スーパーおき」普通車指定席→出雲市駅→山陰本線特急「スーパーまつかぜ」普通車指定席→玉造温泉駅
湯田温泉駅~出雲市駅 営業キロ213.5キロ、運賃計算キロ221.9キロ
出雲市駅~玉造温泉駅 営業キロ26.1キロ
◎問題
運賃の額に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
選択肢ア.
運賃は、「591.4キロ+213.5キロ+26.1キロ」の計算距離による額となる。
選択肢イ.
運賃は、「591.4キロ+221.9キロ+26.1キロ」の計算距離による額となる。
選択肢ウ.
運賃は、「596.8キロ+213.5キロ+26.1キロ」の計算距離による額となる。
選択肢エ.
運賃は、「596.8キロ+221.9キロ+26.1キロ」の計算距離による額となる。
まず最初に、今回の運賃計算に必要なルールを確認しておきましょう。
・総キロ数が100キロを超えるので、途中下車の有無に関係無く、全行程通算で1枚の乗車券でよい。(途中下車駅ごとに買い足す必要無し)
・全行程がJR西日本なので、JR西日本の運賃計算ルールに従う。
・幹線と地方交通線が両方含まれるので、「運賃計算キロ」を用いる。(幹線のみの区間には「営業キロ」しか存在しないのでそちらでよい)
・「加算額」は登場しない。(JR北海道・四国・九州にまたがっていないから)
これを踏まえると、
・米原駅~湯田温泉駅 ・・・ 運賃計算キロを使用(山口線と岩徳線(後述します)部分が地方交通線)
・湯田温泉駅~出雲市駅 ・・・ 運賃計算キロを使用(山口線が地方交通線)
・出雲市駅~玉造温泉駅 ・・・ 営業キロを使用(この区間には幹線しかなく運賃計算キロは存在しない)
となるので、この組み合わせである選択肢エ.が正解です。
楽勝でしたね。サービス問題と言ってよいぐらいです。
ちなみに、この設問の注釈文には、「山口線は地方交通線である」としか書いてありませんが、実はもう1箇所「運賃計算キロ」適用区間があります。
それが山陽新幹線の新岩国駅~徳山駅の間。厳密に言えば、同区間を並行している在来線岩徳線の岩国駅~櫛ケ浜駅の間です。
山陽新幹線は独自の運賃計算用キロ数を用いず、在来線山陽本線のキロ数を流用しているのですが、上記の区間だけは距離の短い(ショートカットしている)岩徳線のキロ数になります。この岩徳線が地方交通線であるのがややこしいポイント。結果的に山陽本線経由よりキロ数が少なくなりますが(旅客にとってはお得なので問題はない)この区間は「運賃計算キロ」が適用されることになったので、事情を知らない方が見ると「なぜ?」という形になっています。
うがった見方になりますが、もし山陽新幹線部分だけで「運賃計算キロ」表示の出題にしてしまうと、その説明が面倒なので、わざわざ山口線をくっつけたのかもしれません。