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【過去問解説】 貸切バスの運賃・料金計算その2 (令和3年出題)

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貸切バスの運賃・料金計算問題では、やたら細かく時間やキロ数が示されることが多く、慣れない方には複雑そうに見えるかもしれません。
実は計算方をちゃんと知っていれば楽だとも言えます。コツをおさらいしておきましょう。

令和3年 国内実務 問題1(2) 配点4点/100点

貸切バスによる運送に関する以下の設問について、選択肢の中から答を1つ選びなさい。
次の行程(日帰り)で大型車の貸切バス(本設問において、以下「大型バス」という。)を利用するときの運賃及び料金の合計額に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
(注1)大型バスの運賃は、「一般貸切旅客自動車運送事業の運賃・料金の変更命令について(平成26年3月26日付 関東運輸局長公示)」によるものとし、運賃の種類は時間・キロ併用制運賃とする。
(注2)この利用に係る大型バスの運賃の割引はないものとする。
(注3)この大型バスは標準的な装備の大型車とし運転者は1名とする。
(注4)旅客乗車地及び旅客降車地における旅客の乗降に要する時間はそれぞれ5分とし、その間、大型バスは停車している。
(注5)消費税の計算は行わないものとする。

◎行程
1.回送区間(出庫から旅客乗車地まで)
5:00出庫~5:10到着 所要時間10分 距離2キロ
2.旅客が実際に乗車する区間
5:15出発~9:40到着 所要時間4時間25分(265分) 距離70キロ
3.回送区間(旅客降車地から帰庫まで)
9:45出発~9:55到着 所要時間10分 距離2キロ

選択肢ア.
4時間分の時間制運賃、70キロ分のキロ制運賃、1時間分の深夜早朝運行料金の合計額となる。

選択肢イ.
4時間分の時間制運賃、70キロ分のキロ制運賃、2時間分の深夜早朝運行料金の合計額となる。

選択肢ウ.
7時間分の時間制運賃、80キロ分のキロ制運賃、1時間分の深夜早朝運行料金の合計額となる。

選択肢エ.
7時間分の時間制運賃、80キロ分のキロ制運賃、2時間分の深夜早朝運行料金の合計額となる。

 

 

貸切バスの運賃計算の2大ポイントである、時間制運賃・キロ制運賃の基本的な問題ですね。
「深夜早朝運行料金」が加わった少し珍しい出題とも言えます。ここも併せて押さえておきましょう。

まず、時間制運賃についてですが、
・出庫から帰庫までの総所要時間を求める
・1時間未満の端数は30分未満なら切り捨て、30分以上なら切り上げ
・出庫前、帰庫後それぞれ1時間分の「点呼点検等時間」を加える
でしたね。「回送時間」だとか「乗降に要する時間は5分」だとか細かい時間の区切りは見なくても大丈夫です。
要は、乗務員とバスの「拘束時間」で考えればよいのです。回送中であろうと、乗降中や現地で待機中の時間であろうと拘束時間には変わりないですよね。
これを踏まえると、
1.出庫時刻5:00と帰庫時刻9:55の差で4時間55分
2.端数55分なので切り上げて5時間分
3.点呼点検等時間をそれぞれ1時間(計2時間)加えて全部で7時間分
というのが正しい計算ですね。選択肢で言えば、この時点ではウ.とエ.が正しいことになります。
一方で、選択肢ア.とイ.の4時間というのは、旅客が実際に乗車する区間の時間数だけで見ていますね(端数25分なので切捨て)。これは論外です。

続いて、キロ制運賃です。
・出庫から帰庫までの総走行キロ数を求める
・10キロ未満の端数は10キロに切り上げ(切り捨てはありません)
これだけです。同じく区間ごとのキロ数の区切りは細かく見なくても大丈夫です。
1.出庫から帰庫までの総キロ数は74キロ
2.端数4キロは切り上げて計80キロ分に換算
選択肢では、やはり同じくウ.かエ.ですね。
ア.とイ.は端数を切り捨てさせる"引っ掛け"選択肢です。キロ制運賃に切り捨てはありません。ご注意ください。

最後に、深夜早朝運行料金です。
深夜早朝運行料金は22時~5時までにまたがった場合に適用されます。今回の問題では、出庫が5:00ちょうどなので一見またがっていないように見えますが・・・
出庫前の点呼点検等時間があることをお忘れなく。5:00の出庫に対して1時間前から乗務員は始動していることになるので実質は4:00からのカウントになります。つまり、ここの1時間分が深夜早朝運行料金の加算対象です。
文字に「運行」と入っているので、走行時間の部分だけかと勘違いされがちですが、そのポイントを上手くついた良い出題でした。

以上の結果、この問題の正解(正しい計算方の組み合わせ)は選択肢ウ.でした。
最終的には深夜早朝運行料金の箇所がカギでしたね。間違ってしまった方はこの機会にあらためて覚え直しておきましょう。

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