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【過去問解説】 旅行業法「変更登録等」 (令和4年出題)

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旅行業者等が登録し、開業した後で、業務内容に変更が生じた場合に発生するのが「変更登録等」です。
字面が似ていて紛らわしいですが、「変更登録」と「登録事項変更」という2種類の違う手続から成ります。

令和4年 法令 問題(6) 配点4点/100点

旅行業法及びこれに基づく命令に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
変更登録等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

選択肢ア.
第2種旅行業者が法人である場合、その名称について変更があったときは、その日から30日以内にその主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に登録事項変更届出書を提出しなければならない。

選択肢イ.
旅行業者代理業者が主たる営業所の所在地について変更(都道府県の区域を異にする所在地の変更に限る。)があったときは、その日から30日以内に変更後の主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に登録事項変更届出書を提出しなければならない。

選択肢ウ.
第3種旅行業者は、第1種旅行業への変更登録の申請をしようとするときは、観光庁長官に変更登録申請書を提出しなければならない。

選択肢エ.
旅行業者等は、選任している旅行業務取扱管理者の氏名について変更があったときは、その日から30日以内に登録行政庁に変更登録申請書を提出しなければならない。

 

 

この問題はちょっと変わったアプローチで解いてみます。
記事の冒頭で触れた通り、旅行業法第6条の4「変更登録等」は2つの違う手続で構成されています。

・変更登録(変更登録申請書)
旅行業者(第1種・第2種・第3種・地域限定)がその業務の範囲(登録種別のこと)を変えて事業を継続する場合。
ちなみに、旅行業者各種別と旅行業者代理業者の間の変更は、登録抹消+新規登録の扱いとなるので変更登録ではない。

・登録事項変更(登録事項変更届出書)
上記の"登録種別変更"以外で、届出事項に変更があった場合に提出。
主な項目を挙げると、名称・住所・商号・代表者などの変更、営業所関連(新設・廃止・移転など)、旅行業者代理業者関連(新設・廃止・移転・営業所改廃など)。

これを踏まえて、4つの選択肢を分別すると。。。

・登録種別の変更を行っている ・・・ ウ.
・それ以外の事項の変更 ・・・ ア.とイ.とエ.
・変更登録申請書を使っている ・・・ ウ.とエ.
・登録事項変更届出書を使っている ・・・ ア.とイ.

アレ? 組み合わせがおかしなものが1つありますね。そう、この時点で決着はつきました。
この問題の正解(誤っているもの)は、選択肢エ.です。

ちなみに、選択肢エ.で挙げている「選任している旅行業務取扱管理者の変更」については、そもそも"登録事項変更届出書"でもありません(旅行業法では届出義務が定められていない)。
ですが、東京など一部の都道府県ではこれとは別の独自規定で届出条項が定められているので、その地域の規約に従いましょう。

それ以外の選択肢は、いずれも"正しい"内容です。

選択肢ア.の「法人名称の変更」は、先ほど例示した通り、"登録事項変更届出書"による届出義務事項の1つです。
登録事項変更届では、併せて下記も覚えておきましょう。
・変更のあった日から30日以内に提出
・提出先は"登録行政庁"(第1種は観光庁長官、それ以外は主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事のこと)

選択肢イ.の「主たる営業所所在地変更」も"登録事項変更"です。
このケースはさらにポイントが一つあり、
・主たる営業所が都道府県をまたがって移転 → 管轄知事が変わる → 届出先は新しい都道府県の知事宛
となっています。

選択肢ウ.は先ほど述べた通り、登録種別の変更に伴う"変更登録申請"で合っています。
こちらも変更後の登録行政庁に提出なので、第1種の観光庁長官宛で正しいです。
ちなみに、この設問のケースでは"格上げ"に当たる第3種→第1種への変更ですが、世の中の事例ではその逆方向もあり得ます。
これは、上位の登録種別ではより高い財産的基礎を求められる(営業保証金または弁済業務保証金の供託)ことなどにも起因し、「募集型企画旅行の催行は諦めるけど、ランクを下げて旅行業を維持しよう」という経営判断は状況によって有りなのです。

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