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【過去問解説】 旅行業法「登録の拒否」 (令和4年出題)

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旅行業務試験では頻出の「登録の拒否」に関する出題です。
いろいろな拒否事例がありますが、パターンを覚えてしまえばそんなに難しくないかと思います。

令和4年 法令 問題(5) 配点4点/100点

旅行業法及びこれに基づく命令に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
次の記述のうち、旅行業又は旅行業者代理業の登録の拒否事由に該当しないものはどれか。

選択肢ア.
公職選挙法に違反して禁錮2年の刑に処せられて、その刑の執行が終わった日から5年を経過した者

選択肢イ.
申請前5年以内に旅行業務に関し不正な行為をした者

選択肢ウ.
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

選択肢エ.
営業所ごとに法第11条の2の規定による旅行業務取扱管理者を確実に選任すると認められない者

 

 

新たに登録しようとする旅行業者等に対しては、その資格があるかどうかの審査が必要です。
個別審査するまでもなく、「そもそもこんな業者ははじめからダメですよ」というのをあらかじめ明記してあるのが、旅行業法第6条「登録の拒否」です。
そこには11のケースが列挙されており、全部丸暗記するのももちろんアリですが、慣れれば「常識的にもこれはダメだよね」と感じ取れるようにもなります。

この問題の正解は(登録拒否に当たらないのは)選択肢ア.です。

「登録の拒否」問題を解くのに、一つ覚えておきたいキーワードが「5年ルール」です。
とある業者が欠格事項を起こしたとして、いつまでも(永久に)欠格というわけでもなく、「5年経ったら不問」という条件が付されているものがあります。
選択肢ア.の前半部分「公職選挙法に違反して禁錮2年の刑に処せられて」は旅行業登録の欠格事項に相当します。が、執行終了後5年が経過しているので現在時点ではもう問われません。よって、欠格事項が(審査上で)消えたことになり、登録を拒否される理由にはならないのです。
ちなみに、このケースでは併せて刑罰の種類について覚えておきましょう。この設問の設定は公職選挙法でしたが、
・旅行業違反の場合については、罰金刑以上で欠格適用されます
・旅行業法以外の違反(公職選挙法道路交通法 etc.)では、禁錮刑以上でないと欠格適用になりません(要は罰金刑なら問われない)
なお、刑罰の執行年数自体は関係ないので無視です。先ほどの「執行終了後5年」と取り違えないようにしましょう。

それ以外の選択肢は、いずれも「登録の拒否」に抵触します。

選択肢イ.は、先ほどの"5年ルール"と併せて覚えましょう。
なお、細かい話になりますが、「旅行業務に関し不正な行為をした」とありますが、これは旅行業者等が違反したわけではなく、わかりやすい例で言えば、無登録業者が勝手に旅行業務を営んでいたケースなのでしょう。その後、心を入れ替えて正式な登録申請に臨んだものかと思われます。
(もし仮に、旅行業者等の違反であれば、業務停止もしくは旅行業登録抹消 の措置を受けていたはずです。そのケースについてはこれとは別の項に書いてあります。)
もっとも、無登録業者であろうと、登録抹消後の再登録であろうと話は同じです。過去5年の履歴が問われますので、まだ5年経過していなかったこの業者の登録申請は今回通りません。

選択肢ウ.も登録NGです。
別の項になりますが、「国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しないもの」というのも欠格事項の1つにあります。
旅行者保護の観点から(いざというときに賠償等の補償ができるように)指定額の「営業保証金」または「弁済業務保証金」(細かい内容はここでは割愛します)の供託義務が定められているのです。
「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」であれば、おそらくそれ以前の段階でしょうが、あえてこのケースも明記されています。

選択肢エ.の業者も登録できません。
旅行業を営もうとする場合、それぞれの営業所ごとに必ず1人以上の旅行業務取扱管理者を選任して管理監督事務に当たらせなければなりません。
登録申請時に「全ての営業所に漏れなく配置できないだろう」(=そもそも人数が足りない)と発覚したのがこの設問のケースでしょう。
なお、登録時はクリアして無事開業し、その後に退職等で有資格者が不足してしまった場合も同様に欠格ですが、そちらの場合は、まず当該営業所が業務停止となり、再度補充できた場合は再開できるようになっています。

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