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【過去問解説】 旅行業法「定義」 (令和3年出題)

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「法令」科目からの出題です。前回の解説でも述べた通り、条文を丸暗記してもたぶん不効率ですよ。
勘所(ポイント)をいかに押さえるかが成否のカギを握ります。では、それを踏まえて見てみましょう。

令和3年 法令 問題(2) 配点4点/100点

以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
報酬を得て、次の行為を事業として行う場合、旅行業の登録を要しないものはどれか。

選択肢ア.
宿泊機関が、自ら経営する旅館の宿泊プランと他人の経営する観光バスによる市内観光をセットにして旅行者に販売する行為

選択肢イ.
ハイヤー会社が、自ら所有するハイヤーを使用した送迎サービスと、他人の経営する船舶会社のクルーズ船によるディナークルーズをセットにした旅行プランを旅行者に販売する行為

選択肢ウ.
イベント事業者が、旅行者の依頼により、他人の経営する宿泊機関及びスポーツの観戦チケットの手配を行う行為

選択肢エ.
観光案内所が、他人の経営する観光施設の入場券と食事のセットプランを旅行者に販売する行為

 

 

この問題は俗にいう「旅行業の定義」、つまり、何をすれば旅行業に当たるのか(=旅行業の登録が必須となる条件は?)を問うものです。
出題パターン(選択肢)は毎回変わりますが、この「定義」問題も毎年のように常連です。
しっかり覚えて確実に1問をゲットしましょう。

「定義」は旅行業法第2条に登場します。非常に長いので、今回は全文引用掲載しません。必要な方は各自検索して照らし合わせてください。

ポイントだけ抜粋します。

旅行業とは、
報酬を得て行う業務行為
事業として営まれていること
旅行者に対して行う業務行為(旅行業者からの依頼で行うものは別に定める事業であり「旅行業」ではない)
他社が経営する運送機関や宿泊施設を利用(自社保有資産だけ使う場合は「旅行業」ではない)
・一般には企画旅行募集や旅行手配業務を指すが、各種の付帯手続や相談だけでも「旅行業」となる(その分の報酬を得ていれば)

この辺りを押さえておけば、たいていの年の「定義」問題は解けます。
赤字キーワード部分だけでもよいですよ。

あと1個だけ追加しておきましょう。例外規定というやつです。
・運送機関の切符をただ代理販売している行為(予約とか複雑な手続を伴わない)は旅行業の登録を免除される。
具体的には、地方の駅やバス停、港などに近接する商店が、委託契約を受けて切符を代理販売しているのがこのケースです。それらの商店はいちいち旅行業登録をしていません。

覚えられましたか? では設問文を確認してみましょう。

条件のうち、「報酬」「事業」は設問文の冒頭に書かれている(つまり、選択肢ア.~エ.の全てに適用される)ので捨て置きます。

「旅行者に対して」については、どの選択肢の文の中にもそういう記述が書いてありますのでOKですね。この年は違いましたが、「旅行業者の依頼を受けて」が選択肢に混じっている過去問が意外とあったりしますので結構要注意です。

あとは「何を扱っているか」の違いです。

ア.では、自社の旅館だけでは対象外ですが、他社の観光バスを使っていることにより旅行業に当たります。

イ.は、自社のハイヤーだけなら同じく対象外。旅行業登録無しでは他社のディナークルーズを扱えません。

ウ.は、他社の宿泊機関手配なので文字通り旅行業ですね。スポーツの観戦チケットだけで運送・宿泊を伴わなければおそらく旅行業ではないのですが。

ということで、正解は(旅行業の登録を要しないのは)選択肢エ.となります。

「観光施設の入場券」「食事」はいずれも運送機関・宿泊施設利用とはたぶん見えませんね。(ホテルでの食事プランとかあり得ますが「泊まる」とはどこにも書いてないし)
近年では、いわゆる"イベントチケット"類も多種多様になっており、先ほどの「スポーツの観戦チケット」と同様、旅行業の範疇に入るかどうかは実際の世界では微妙な判断だったりします。

ただ、これが試験問題だと割り切って見てしまえば、
ア.イ.ウ.には紛れもない旅行業行為が含まれている → よって、消去法でエ.が正解!(旅行業ではない)
という解き方をしてしまっても何ら支障は無いかと私は考えます。

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