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【過去問解説】 標準旅行業約款「契約内容の変更」ほか (令和3年出題)

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契約時点で取り交わした内容(旅行サービス等)が出発日までに変更になってしまうことはあり得ない話ではありません。場合によっては旅行代金も。
そういった事態に備え、約款でもあらかじめ取り扱い方が規定されています。

令和3年 約款 問題1(5) 配点4点/100点

標準旅行業約款に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
募集型企画旅行契約の部「契約内容の変更」「旅行代金の額の変更」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

選択肢ア.
旅行業者は、旅行業者の関与し得ない事由が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施を図るためやむを得ないときは、旅行者にあらかじめ速やかに当該事由が関与し得ないものである理由及び当該事由との因果関係を説明して、旅行日程、旅行サービスの内容その他の契約の内容を変更することがある。ただし、緊急の場合において、やむを得ないときは、変更後に説明する。

選択肢イ.
A市からB市への移動に際し、契約書面に記載した航空便の欠航によりB市に移動できず、やむを得ずA市に宿泊することになった場合において、それに伴って旅行の実施に要する費用の増加が生じたとき、旅行業者は、当該変更に係る理由を旅行者に説明し、その増加する費用の範囲内において旅行代金の額を増額することがある。

選択肢ウ.
旅行業者は、運送・宿泊機関等の利用人員により旅行代金が異なる旨を契約書面に記載した場合において、契約の成立後に旅行業者の責に帰すべき事由によらず当該利用人員が変更になったときは、契約書面に記載したところにより旅行代金の額を変更することがある。

選択肢エ.
旅行業者は、旅行を実施するに当たり、利用する宿泊機関について適用を受ける料金が、著しい経済情勢の変化等により、旅行の募集の際に明示した時点の料金に比べて、通常想定される程度を大幅に超えて増額又は減額される場合においては、その増額又は減額される金額の範囲内で旅行代金の額を増加し、又は減少することができる。

 

 

「契約内容の変更」「旅行代金の額の変更」は約款(標準旅行業約款 募集型企画旅行契約の部)第13条と14条に出てきます。

この問題の正解(誤っているもの)は選択肢エ.です。

約款を勉強したことがある方なら、逆に選択肢エ.の文面を「この内容は見たことあるな」と"正しい"と思ってしまうかもしれません。
実はそれは落とし穴で、一箇所すり替えてある部分があるのです。
「宿泊機関」→「運送機関」と置き換えればエ.は"正しい"文章になります。この規定は運送機関の場合にのみ適用され、宿泊施設の場合においては適用されない(つまり、その理由で増額・減額はできない)というのが結論です。

これ以外の選択肢はいずれも"正しい"内容です。

選択肢ア.とイ.はまとめて説明します。
旅行開始前・開始後(日程途中)にかかわらず、
・旅行の安全かつ円滑な実施を図るため変更することがやむを得ない
・旅行業者の責任ではない理由(天災地変、暴動・戦乱、運休・宿泊施設休業、その他)
・基本的には事前説明、ただし緊急避難の場合は事後に説明
の状況により旅行日程や旅行サービス内容の変更をすることがあり得ます。
選択肢ア.の内容は正しく、またイ.の変更はこのやむを得ないケースに相当します。
また、この変更に伴い、費用の変更が発生してしまう場合は旅行代金の増額も認められます。
(約款第14条4項参照。通常は変更の事前説明の際に、その旨も触れられるのでしょうが。)
旅行者側から見れば、期待したサービスと異なる上に旅行代金増額となってはやるせない話ですが、あらかじめこういうケースを想定して約款では定められているのです。

選択肢ウ.も"正しい"です。
一番わかりやすい例で言えば、ホテル個室の利用人員でしょう。例えば、契約時に1室3人利用のプランで申し込んでおいて、その後に2人キャンセルし実際の旅行時では1人参加(シングル)となった場合は、旅行の企画内容にもよりますが旅行代金増額は起こり得る話です。

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