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【過去問解説】 標準旅行業約款「契約内容の変更」ほか (令和4年出題)

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約款のうち、契約後の変更に関する事例を並べ、正誤を問う問題です。
"正しい"ものから判断するか、"誤った"ものから判断するか、解き方の好みが分かれます。

令和4年 約款 問題1(5) 配点4点/100点

標準旅行業約款に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
募集型企画旅行契約の部「契約内容の変更」「旅行代金の額の変更」「旅行者の交替」に関する次の記述から、正しいもののみをすべて選んでいるものはどれか。

a.旅行業者は、旅行業者の関与し得ない事由が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施を図るためやむを得ず契約内容を変更するときは、いかなる場合であっても旅行者にあらかじめ速やかに当該事由が関与し得ないものである理由及び当該事由との因果関係を説明しなければならない。
b.旅行者は、契約上の地位を第三者に譲り渡すことについて、旅行業者の承諾を求めようとするときは、旅行業者所定の用紙に所定の事項を記入の上、所定の金額の手数料とともに、旅行業者に提出しなければならない。
c.確定書面に記載した利用予定ホテルが過剰予約受付をしたため利用できなくなり、旅行業者が宿泊料金の高い他のホテルに変更したことにより、旅行の実施に要する費用が増加した場合、旅行業者は、当該契約内容の変更の際にその範囲内において旅行代金の額を増額することができる。
d.旅行業者の承諾を得て旅行契約上の地位を譲り受けた第三者は、旅行者の当該契約に関する一切の権利及び義務を承継する。

選択肢ア. a,c 
選択肢イ. b,d 
選択肢ウ. b,c,d 
選択肢エ. a,b,c,d

 

 

今回は上から順に見ていくことにしましょう。

まず、a.は、"常識的に考えて"で判断します。
「旅行の安全かつ円滑な実施を図るため」の変更です。いろいろなシチュエーションが想定できますが、その中に"緊急事態"(天変地異・戦乱・暴動 etc.)はイメージできますでしょうか。そんなケースでは事前に(あらかじめ)理由や因果関係の説明なぞできませんね。一刻も早く逃げましょう。説明は落ち着いてから事後で。
規定(第13条「契約内容の変更」)にもその通り定義されています。原則は"あらかじめ説明"、ただし緊急で止むを得ない場合では"変更後に説明でも可"です。
よって、a.は"誤り"です。

次のb.は結論から先に言えば"正しい"です。第15条「旅行者の交替」に載っています。
まず最初に、契約後の旅行者交替(第三者への権利の譲り渡し)は"条件を満たせばできる"ということを覚えておきましょう。その条件とは、
・旅行業者側の承諾を得ること
・所定の用紙に記入して提出すること
・所定の手数料を支払うこと
これで円満に解決です。ただし、企画旅行の内容によっては、参加条件が付されている場合がある(年齢・資格等々)ので、その場合はもちろん交替で入る方も同様に参加条件を満たしている必要があります(普通は承諾過程の中でこの確認がなされますが)。

続いてc.ですが、これは"誤り"です。
「利用予定ホテルが過剰予約受付をした」、つまり"オーバーブッキング事例"です。この言葉が出てきたら、即「変更補償金」を思い出しましょう。
この記事では「変更補償金」の詳しい説明は割愛しますが、わかりやすく例えれば、過剰予約発生時は旅行業者から旅行者に対して"見舞金のようなもの"が支払われます。
当然、旅行代金の増額などもってのほか。高いホテルに変更しようがそこは関係ありません。

最後のd.は、b.の「旅行者の交替」の続きです。
例えば、c.で発生した「変更補償金」を受け取るのは、当然現在の参加者(権利を譲り受けた方)であり、当初の契約者ではありません。
逆に、別の理由で追加費用が発生した場合に、支払うのも現参加者であり、それ以外の権利義務事項も全部その方です。
という至極当たり前のことが書いてあるだけであり、d.は"正しい"です。

以上をまとめると、この問題の正解(正しいものの組み合わせ)は、選択肢イ.の b,d となります。

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