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【過去問解説】 世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」 (令和4年出題)

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世界遺産問題の王道「構成資産を選ばせる」出題です。
どの世界遺産にも数多くの構成資産があり、全部覚えるのは大変ですね。

令和4年 国内実務 問題8(2) 配点2点/100点

日本国内における世界遺産ラムサール条約・国立公園に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
世界文化遺産明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」に含まれる構成資産として正しいもののみをすべて選んでいるものは、次のうちどれか。

a.旧グラバー住宅 
b.松下村塾 
c.高山社跡 
d.韮山反射炉

選択肢ア. a,b,c 
選択肢イ. a,b,d
選択肢ウ. a,c,d 
選択肢エ. b,c,d

 

 

世界文化遺産明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産を覚えるのは至難の業です。なにしろエリアだけでも萩・鹿児島・長崎をはじめ全国8箇所に分散しています。
片や、今回の出題で"はずれ選択肢"となった、とある構成資産が属する世界遺産では全部で4つ。あくまで結果論での話ですが、どちらから攻めた方が早いかと言えば後者になるでしょうか。

というわけで、この問題では"はずれ"から探してみます。「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」に"含まれないものはどれ?"ということです。
それは、cの高山社跡(たかやましゃあと)です。

高山社跡が属するのは、世界文化遺産富岡製糸場と絹産業遺産群」です。高山社は群馬県藤岡市にあった養蚕業の研究・教育機関で、「清温育」という効率的な蚕の飼育方法や飼育場所(蚕室)の開発などで養蚕技術普及に貢献しました。
ちなみに、「富岡製糸場と絹産業遺産群」の他の3つの構成資産は、
富岡製糸場
田島弥平旧宅(同じく養蚕業発展に貢献)
・荒船風穴(蚕の卵の大規模保存場所)
です。


 

cが含まれない選択肢は一つしかありません。そう、選択肢イ.がこの問題の正解です。ということで、a,b,dが「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産となります。

aの旧グラバー住宅(きゅうぐらばーじゅうたく)は長崎市にあります。「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」長崎エリアでは、造船関係の施設や炭鉱(端島軍艦島 など)が構成資産に選ばれています。
グラバー邸の主、トーマス・グラバー氏は、このうち小菅修船所や高島炭鉱の経営に携わり、当時の日本近代化への貢献が評価されています。

bの松下村塾(しょうかそんじゅく)は山口県萩市。萩エリアでは、製鉄関係(反射炉たたら製鉄)や造船所といった施設のほか、萩市街そのもの(萩城下町)が含まれているのが特徴的です。
松下村塾吉田松陰による私塾で、明治日本を育てた塾生を多数輩出した(伊藤博文高杉晋作など)ことで知られています。


 

dの韮山反射炉(にらやまはんしゃろ)は静岡県伊豆の国市にあります。「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は山口県と九州各県に集中しているので、ポツンと遠く離れた2箇所(静岡のここと岩手県釜石市の橋野鉄鉱山)が逆に印象に残って覚えている方もいらっしゃるかもしれませんね。
単に製鉄施設というよりは、この反射炉によって大砲など武器の量産が可能になり、日本が諸外国に対抗する力を持ち得た点が大きく評価されています。

最後に、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の残りのエリアも紹介しておきましょう。
・鹿児島エリア(鹿児島市) ・・・ 薩摩藩が設けた「旧集成館」(製鉄・造船・紡績などの工場群)が有名。
・釜石エリア(岩手県釜石市) ・・・ 前述した「橋野鉄鉱山」。実際にはこの地で製鉄も行われた。
・佐賀エリア(佐賀市) ・・・ 蒸気船の造船や訓練を行った「三重津海軍所」がある。
・三池エリア(福岡県大牟田市ほか) ・・・ 実に1997年まで稼働していた「三池炭鉱」や積み出し施設・港など。
・八幡エリア(北九州市ほか) ・・・ 鉄鋼の量産に寄与し、日本の産業近代化のきっかけとなった「官営八幡製鐵所」など。

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