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【過去問解説】 JR運賃・料金計算(団体) (令和4年出題)

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本日2問目はJRの運賃・料金計算問題を取り上げます。
団体の取り扱いでは割引率や無賃扱いなど特徴的な事項が多いので整理して覚えましょう。

令和4年 国内実務 問題1(2)-1 配点4点/100点

貸切バスによる運送に関する以下の設問について、選択肢の中から答を1つ選びなさい。
学校教育法による高等学校に通学する学生32人、当該学校の教職員2人、同行する旅行業者1人の計35人によって構成され当該学校の教職員が引率する団体が、次の行程で旅客鉄道会社(JR)の新幹線さくら号と大型車の貸切バス(本設問において、以下「大型バス」という。)を利用する場合の以下の設問について、資料に基づき選択肢の中から答を1つ選びなさい。

(注1)この団体は、JRによる運送の引受けがされているものとする。
(注2)JR運賃料金の計算にあたり、所定のは数整理はされるものとする。
(注3)「一般貸切旅客自動車運送事業標準運送約款」によるものとする。
(注4)大型バスの運賃は、「一般貸切旅客自動車運送事業の運賃・料金の変更命令について(平成26年3月26日付 九州運輸局長公示)」によるものとする。
(注5)この団体は、バス会社に対し当該学校の長が発行する証明書を提出しているものとする。
(注6)この利用に係る大型バスの運賃は上限額を使用して計算された最高額とする。
(注7)この利用に係る大型バスの料金は考慮しないものとする。
(注8)この大型バスの運賃計算にあたり、消費税の計算は行わないものとする。

◎行程
6月5日(日)通常期
出水駅6:32発→さくら400号(普通車指定席)→新鳥栖駅7:30着→徒歩→鳥栖市陸上競技
鳥栖市陸上競技場17:35発→大型バス→出水駅20:35着

◎大型バスの運行行程
1.出庫時刻は14時20分
2.車庫から鳥栖市陸上競技場の配車場所までの距離は高速道路を経由して190キロ
3.鳥栖市陸上競技場の配車時刻は17時20分
4.鳥栖市陸上競技場の配車場所から出水駅までの距離は高速道路を経由して190キロ
5.出水駅から車庫まで距離は1キロ
6.帰庫時刻は20時45分

◎資料
出水駅から新鳥栖駅までの九州新幹線を経路とする片道普通旅客運賃は3,740円である。
出水駅から新鳥栖駅までの九州新幹線の指定席特急料金(通常期)は3,770円である。
・この大型バスの時間制運賃の上限額は1時間あたり6,910円、下限額は1時間あたり4,790円である。
・この大型バスのキロ制運賃の上限額は1キロあたり150円、下限額は1キロあたり100円である。

◎問題
この団体のJR運賃料金の合計額を求める計算式のうち正しいものはどれか。

選択肢ア.
学生1人あたりの運賃   3,740円−(3,740円×50%) ・・・ ①
教職員1人あたりの運賃   3,740円−(3,740円×30%) ・・・ ②
旅行業者1人あたりの運賃   3,740円 ・・・ ③
学生及び教職員及び旅行業者の1人あたりの料金  3,770円 ・・・ ④
【(①×32人分)+(②×2人分)+(③×1人分)+(④×35人分)】の計算によって求められる額

選択肢イ.
学生及び教職員の1人あたりの運賃  3,740円−(3,740円×50%) ・・・ ①
旅行業者1人あたりの運賃  3,740円 ・・・ ②
学生及び教職員及び旅行業者の1人あたりの料金  3,770円 ・・・ ③
【(①×34人分)+(②×1人分)+(③×35人分)】の計算によって求められる額

選択肢ウ.
学生1人あたりの運賃  3,740円−(3,740円×50%) ・・・ ①
教職員及び旅行業者の1人あたりの運賃  3,740円−(3,740円×30%) ・・・ ②
学生及び教職員及び旅行業者の1人あたりの料金  3,770円 ・・・ ③
【(①×32人分)+(②×3人分)+(③×35人分)】の計算によって求められる額

選択肢エ.
学生1人あたりの運賃  3,740円−(3,740円×50%) ・・・ ①
教職員及び旅行業者の1人あたりの運賃  3,740円 ・・・ ②
学生及び教職員及び旅行業者の1人あたりの料金  3,770円 ・・・ ③
【(①×32人分)+(②×3人分)+(③×35人分)】の計算によって求められる額

 

 

まずこの問題、異様に文面が長いです。それもそのはず、JR新幹線と貸切バスをミックスした行程になっており、注釈文も補足文もその両方を合わせたボリュームになっているからです。
でも、設問自体はJRの計算部分(今回掲載記事)と貸切バスの計算部分(次回予定記事)の2問分に分かれています。実際にも別々に計算して合計するのですから当たり前ですね。
「それならそれで、最初から別々の出題にすれば文章もシンプルで読みやすかっただろうに」という受験者の声も聞こえてきそうです。

まあ出題者の思いを想像し、代弁してみれば、「現実の旅行手配で複数交通機関のミックスはよくある話であり、そのイメージに近付けました」といったところでしょうか。
ひとつのメッセージ性を感じました。考えすぎでしょうか。

さて、要領を知ってさえいれば、この問題を解くのはそんなに難しくありません。
ただ。。。 団体料金の計算方はここ最近の過去問には出てなかったんですよね。どれだけの受験者が追随できたのでしょう。それだけが心配です。

ちなみに、今回は学生団体なので、ルールはまだシンプルな方です。
・指定学校の学生、生徒、児童、園児8人以上、及びその同行者で構成される団体
・繁忙期、閑散期による割引率の変動は無い。無賃扱いも無い。
・申込期限は出発日の9ケ月前から14日前まで(貸切列車は2ケ月前まで)

肝心の割引率は、
中学生以上 50%引
小学生以下 30%引(園児も小児料金の30%引)
同行者(教職員、添乗員等、低年齢者の場合は保護者付添も可) 30%引
これだけです。

それぞれの選択肢に照らし合わせてみれば、
・学生(今回は高校生)は50%引 ・・・ どの選択肢も合っている
・教職員は30%引 ・・・ 合っているのはア.とウ.
・添乗員も30%引 ・・・ ウ.しか合っていない
・特急料金は割引無し ・・・ どの選択肢も合っている

よって、正解(正しい計算式の組み合わせ)は選択肢ウ.となります。

今回の決め手は教職員と添乗員の扱い方だけでしたね。
前述した通り、学生団体の取り扱いはそんなに複雑ではありません。
普通団体はもうちょっとややこしいです(時期による割引率変動と無賃扱い)。
この記事では普通団体まで踏み込みませんが、気になる方はこれを機会に押さえておきましょう。来年辺り出るかもしれませんし。。。

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