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【過去問解説】 旅行業法「受託契約」 (令和4年出題)

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ある旅行業者が実施する募集型企画旅行は、他の旅行業者等でも代理販売することができます。
この問題ではそのときに締結される「受託契約」について取り扱っています。

令和4年 法令 問題(21) 配点4点/100点

旅行業法及びこれに基づく命令に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
受託契約に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

選択肢ア.
地域限定旅行業者は、第1種旅行業者を委託旅行業者とする受託契約を締結することができない。

選択肢イ.
旅行業者代理業者は、所属旅行業者の事前の承諾があれば、自ら直接、他の旅行業者と受託契約を締結することができる。

選択肢ウ.
旅行業者は、複数の他の旅行業者と受託契約を締結することができる。

選択肢エ.
委託旅行業者及び受託旅行業者は、受託契約において、委託旅行業者を代理して企画旅行契約を締結することができる受託旅行業者の営業所を定めておく必要はない。

 

 

他社の旅行商品を販売、と言えばまず旅行業者代理業者を思い浮かべるところですが、実は旅行業者相互間でもこれが可能です。旅行業者A社が旅行業者B社の募集型企画旅行を販売、またはその逆となるケースです。
一方で、旅行業者代理業者は所属旅行業者のものしか原則販売できません(後述します)。

この問題では上から順番に見ていきましょう。

まず、選択肢ア.は"誤り"です。
旅行業者相互間で締結する受託契約では登録種別(第1種・第2種・第3種・地域限定)の制限はありません。
第1種どうしはもちろん、地域限定旅行業者が第1種旅行業者を受託しても、その逆であっても一向に構いません。

続いて、選択肢イ.も"誤り"です。
旅行業者代理業者は1社(所属旅行業者)としか受託契約を結ぶことはできません。逆に、例えば所属旅行業者が廃業して1つも無くなったら登録廃止となります(その場合は別の旅行業者と結べば新規登録できる)。
なので、所属旅行業者の許可があろうとなかろうと、他の旅行業者とは直接契約は結べません、というのが正しいです。
業務上の例外は、所属旅行業者自身が他社と受託契約を締結した場合(受託契約時に該当旅行業者代理業者を担当営業所に含めておく必要はあります)です。
この場合、旅行業者代理業者A社 → 所属旅行業者B社 → 委託旅行業者C社 の契約関係が成立し、A社はB社の代理という立場をもった上で、C社の募集型企画旅行を販売することができるのです。旅行業者代理業者が所属旅行業者以外の旅行商品を取り扱えるのはこれが唯一のパターンです。

一方で、選択肢ウ.は"正しい"内容です。つまりこれがこの問題の正解となります。

旅行業者の受託契約では、旅行業者代理業者と下記のような違いがあります。
・受託契約において、旅行業者代理業者の登録は新たに必要無い
・複数の相手(委託旅行業者)と受託契約を締結することができる
・逆に自身が委託旅行業者側となる場合も有り
・受託契約時に担当営業所に旅行業者代理業者を含めておけば、その旅行業者代理業者にも代理販売させられる(前述)

最後に、選択肢エ.は"誤り"です。
途中でも触れている通り、受託契約時にはどの営業所で代理販売を行えるかをあらかじめ決めておく必要があります(つまり、自動的に全営業所で代理販売できるというわけではない)。
代理販売を行えると定められた営業所では(旅行業者代理業者を含む場合も)、
・「標識」に委託旅行業者の名称を追記する必要がある
・営業所内に委託旅行業者の「約款」を備え置く必要がある
「標識」「約款」のおさらいを兼ねて覚えておきましょう。

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