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【過去問解説】 標準旅行業約款「特別補償規程」その2 (令和4年出題)

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「特別補償規程」の事例編問題です。
どういうケースでは支払対象となるのか(ならないのか)こういう出題を通じて学んでいきましょう。

令和4年 約款 問題1(17) 配点4点/100点

標準旅行業約款に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
募集型企画旅行契約の部及び受注型企画旅行契約の部「特別補償規程」に関する次の記述から、入院見舞金、通院見舞金又は携帯品損害補償金の支払いの対象とならないものをすべて選んでいるものはどれか。

(注1)旅行業者が入院見舞金又は通院見舞金の支払いを要する場合において、それ以外に支払うべき補償金等はないものとする。
(注2)携帯品損害補償金を支払う場合は、約款に定める支払いが必要な最低額を上回っているものとする。

a.旅行者が、旅行参加中に、道路上でレンタカーを運転中にハンドル操作を誤り、壁面に衝突した事故によって被った傷害の治療のための7日間の入院
b.旅行者が、旅行参加中に、ホテルの洗面台に誤って流し、紛失したコンタクトレンズ
c.旅行者が、旅行日程に定められた自由行動日に、スノーボードで滑降中、転倒事故によって被った傷害の治療のための5日間の通院
d.旅行者が、旅行日程に定められた自由行動日に、島内観光のために持ち込んだ原動機付自転車の盗難

選択肢ア. a,c 
選択肢イ. b,d 
選択肢ウ. a,b,d 
選択肢エ. a,b,c,d

 

 

今回も資料は"別紙"特別補償規程を見てください。検索する場合は「旅行業 特別補償規程」等のワードで探せます。
うち、第二章~第四章は、身体の傷害に関する規定(携帯品損害補償金以外)、第五章が身の回り品の損害についてです。ケースによって見る場所が違うので注意。

この問題ではaから順番に見ていきましょう。

まず、aは入院見舞金の支払対象となります。
入院日数は1日以上から支給され、日数に応じて金額が変わります。その他の条件についても、
・旅行参加中であること
・レンタカーの運転行為は"除外理由"には当たらない
・"旅行者の故意"や"無免許運転"など怪しい点の記述が見受けられない
ことから問題はないかと判断できます。

一方で、bは携帯金損害補償金の支払対象にはなりません。
このケースでは"除外理由"が2つあります。
コンタクトレンズは補償対象品に含まれない。義歯や義肢などについても同様で、補償対象品の除外リストに挙げられている。
・"紛失"は補償対象外行為となる。置き忘れについても同じ。
比較的よくあるケースのようにも思われますが、以上の理由により応じてもらえません。特に"紛失・置き忘れ"については各自気を付けましょう。

続いて、cは通院見舞金が受けられます。
通院見舞金も入院と同じく日数に応じて金額が変わります、ただ、通院日数は3日以上必要なのですが、このケースでは5日間なのでクリアしています。
「旅行日程に定められた自由行動日」表現が気になりますが、この場合は"旅行参加中"と見てよいでしょう。ちなみに、運送機関サービスも宿泊施設サービスも一切何も提供されない日であれば"旅行参加中としない"場合がありますが、一般によくあるケースでは、「日中は自由行動だが宿泊場所は決まっている」ことが多いので、そういう日はちゃんと旅行参加中扱いとなります(自由行動中の事故でも補償される)。
また、傷害に至った行為についても、山岳登はんやスカイダイビング・ハンググライダー等であれば除外対象ですが、スノーボード程度であれば問題ありません。

最後に、dは携帯金損害補償金の支払対象にはなりません。
「旅行日程に定められた自由行動日」は前述の通り問題なしです。"盗難"についても"紛失・置き忘れ"とは異なり、こちらは補償対象です。
では、何がいけないのかと言えば、原動機付自転車が補償対象の身の回り品扱いとはならないからです(先ほどのコンタクトレンズと同じく除外リストに載っている。自動車や船舶についても同様。)。

まとめると、この問題の正解(特別補償の支払対象とならないもの)は、選択肢イ.の b,d となります。

ちょっと骨のある問題でしたね。
解き方としては、まず"紛失・置き忘れ"のbを外すのが第一手かと思います。 この時点で選択肢はイ.ウ.エ.のいずれかに絞られます。
dは難題(原動機付自転車が除外対象と知っているかどうか)ですが、幸いなことにイ.ウ.エ.はいずれもdを支払対象外としているので自動的に決着が付き、考慮せずに済みます。
あとはaの「レンタカー運転」とcの「スノーボード」ですが、スノーボードは"危険行為"かどうか迷うとしても、aの文面に旅行者の目立った落ち度が見られない以上、aを支払対象とすれば最終的に選択肢イ.に落ち着きます。
念のため、「入金見舞金は1日から、通院見舞金は3日から」も覚えておきましょう。

余談ですが、私はこの問題を解いたとき、実は「支払いの対象となるものはどれか」と読み違えて、誤答していました(そのパターンだとア.を選んでしまう)。
見直しで気が付いて事なきを得ましたが、緊張するとこういうこともあります。皆様もご注意を。

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