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【過去問解説】 標準旅行業約款「旅程管理」ほか (令和4年出題)

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募集型企画旅行などを実施する際に、旅行者の安全と旅行の円滑な実施を維持確保するために旅行業者が行うのが「旅程管理」です。
ときには止むを得ない事由による計画の変更もあるでしょう。スムーズに代替手配を用意するのも腕の見せ所です。

令和4年 約款 問題1(11) 配点4点/100点

標準旅行業約款に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
募集型企画旅行契約の部「旅程管理」「旅行業者の指示」「添乗員等の業務」「保護措置」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

選択肢ア.
旅行業者は、旅程管理の措置を講じたにもかかわらず、契約内容を変更せざるを得ない場合であって、旅行サービスの内容を変更するときは、変更後の旅行サービスの内容が当初の旅行サービスの内容を上回るものになるようにしなければならない。

選択肢イ.
旅行業者は、旅行の内容により添乗員その他の者を同行させて旅程管理業務その他当該旅行に付随して旅行業者が必要と認める業務の全部又は一部を行わせることがある。

選択肢ウ.
旅行者は、旅行開始後旅行終了までの間において、団体で行動するときは、旅行を安全かつ円滑に実施するための旅行業者の指示に従わなければならない。

選択肢エ.
旅行業者は、旅行中の旅行者が、疾病、傷害等により保護を要する状態にあると認めたときは、必要な措置を講ずることがある。この場合において、これが当該旅行業者の責に帰すべき事由によるものでないときは、当該措置に要した費用は旅行者の負担とする。

 

 

どんなに綿密に計画した旅行内容であっても、旅行中には何が起こるかわかりません。異常の発生時には、現地では添乗員、加えて営業所スタッフのバックアップも得ながら影響を最小限に抑えるための努力を行います。これが「旅程管理」で、ときに計画作成以上に大切な業務であるとも言えます。

この問題の正解(誤っているもの)は、選択肢ア.です。

旅行開始後(旅行中)に発生する契約内容の変更というのは、まさに現在進行形です。まず当初の計画が維持できるように必要な措置を講じ、次に変更止む無しとなった場合でも、代替サービス手配で同等レベルの維持に努める(変更の影響を最小限にする)。ここまでが約款第23条で定められた"努力義務"です。
これすら完遂できないかもしれません(その場合は契約の一部解除と返金)。仮に「上等レベルへの変更」を"義務"とされた暁には、ただでさえ困難な軌道修正がより不確実なものになってしまいますね。それでは逆に旅行者のためとは言えません。
重ねて言いますが、旅行者の満足を少しでも損ねないようにというのは"努力義務"です。100%は確約できませんし、100%以上は義務でもありません。

これ以外の選択肢は、いずれも"正しい"です。

選択肢イ.は、約款第25条「添乗員等の業務」で定められている規定です。ケースによっては"添乗員無し"の募集型企画旅行が存在するのもご存知でしょう。
なお、この問題には出てきませんが、第25条にはもう一つの規定があり、それは「添乗員の業務時間帯は原則8時から20時まで」というものです。
一般にはあまり知られていないかと思いますが、早朝・深夜に添乗員さんの手間を取らせないようにしましょう。あくまで原則ではありますが。

選択肢ウ.は、約款第24条「旅行業者の指示」の規定です。
当たり前すぎて疑う余地もありません。旅行の円滑な実施を妨げる迷惑行為には暴力等だけではなく、"酒乱"や"遅刻"、"勝手な離脱"など、やってしまいがちな行動も多々あります。
あまりにも度が過ぎれば"契約の解除"(現地で解放)となりかねませんので気をつけましょう。

選択肢エ.は、約款第26条「保護措置」に書いてあります。
"義務"というより、むしろこの状態の旅行者をこのまま同行させるとこの先何が起こるかわからないので、"必要な判断"という側面も持ちます。
これまた、この先の同行が不可能ということになれば"契約の解除"になり得ます。ただし、このケースでは「帰路手配」(約款第20条参照)の"救済措置"があります。

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