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【過去問解説】 標準旅行業約款「旅行契約の内容」ほか (令和4年出題)

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本日2問目も「約款」科目から。"正しい"選択肢が複数ある出題パターンです。
厄介な問題であると同時に、あることに気付きさえすれば一撃で・・・ 

令和4年 約款 問題1(2) 配点4点/100点

標準旅行業約款に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
募集型企画旅行契約の部「旅行契約の内容」「手配代行者」「契約の申込み」に関する次の記述から、正しいもののみをすべて選んでいるものはどれか。

a.旅行業者は、契約において、旅行者が旅行業者の定める旅行日程に従って、旅行サービスの提供を受けることができるように、手配することのみを引き受ける。
b.旅行業者は、国内旅行の契約の履行に当たって、その手配の全部又は一部を本邦内の他の旅行業者、手配を業として行う者に代行させることはできない。
c.旅行業者に契約の申込みをしようとする旅行者は、通信契約を締結する場合を除き、旅行業者所定の申込書に所定の事項を記入の上、旅行業者が別に定める金額の申込金とともに、旅行業者に提出しなければならない。
d.旅行者から収受する申込金は、旅行代金又は取消料若しくは違約料の一部として取り扱う。

選択肢ア. a,b
選択肢イ. c,d 
選択肢ウ. b,c,d
選択肢エ. a,b,c,d

 

 

4つある設定群a~dのうち、"正しい"ものがいくつあるのかわからないパターンです。4つとも正否を検証しなければいけないので、通常は面倒な部類に入ります。
ですが、私の場合で恐縮ですが、私はこの問題を一瞬でクリアできました。偶然の助けはありましたが。

からくりを説明しましょう。

設定群の一群にパッと目を走らせた際に、私の目に飛び込んできた単語があります。設定b.の文末にある「できない」("ですます"調だと"できません")という言葉です。
「約款には"できない”表現は無かったはず」、つまりは違和感です。ちなみに、c.にあるような「しなければならない」であればよく見かける表現なので、とりあえずこの時点でc.に怪しさは感じません。逆に言えば、b.は"怪しさ満点"と直感しました。

というわけで、私が最初に確かめたのは設定b.です。あらためて全文を見てもやはり"誤り"だとわかります。
第4条「手配代行者」という条文がありますが、他の旅行業者や手配を業とするものに「代行させることはできない」のであれば、そもそもで言って「手配代行者」という言葉自体が存在しないことになります。正しい条文では、本来自社で行うべき手配の一部であろうが全部であろうが然るべき者(もちろん有資格者のことです)に代行させることができますので覚えておきましょう。

さて、b.が誤りと即決できたところで、今度は選択肢の方を見てみます。すると。。。
アレ? b.が含まれないのは1つしかありません。
正解(正しい設定文の組み合わせ)は、選択肢イ.の c,d のはずです。ちゃんちゃん

まあ実際にはこのあとで a,c,d の中身もちゃんと検証しましたしね。上記の解答プロセスは紛れもない事実ですが、偶然のラッキーに過ぎません。
でも、自信があれば(b.が"誤り"と即断できれば)同じ解法で時間短縮できます。面白い事例かと印象に残ったので今回披露してみました。

いずれにせよ、私が瞬殺できたのは、条文を何度も見て「"できない"なんて無かったよね」というのに気付くほど違和感に慣れていたからです。
ここまで習練せよとは言いませんが、反復による慣れって大事なんだなあと今一度思い直す機会となりました。

さて、先ほど述べたように a,c,d もきちんと見てはいます。それぞれ確認しておきましょう。

a.は"誤り"です。正しくは手配することのみならず、旅程の管理を引き受けなければなりません。
当たり前ですよね。手配してハイおしまい、ということになれば、旅行実施中に発生したトラブルもろもろに対して一切責任を負わないことになります。そんな"パッケージツアー"はあり得ません。実際にはそのトラブル対処云々を含めて、旅行実施中のケア全般を取り扱うのが旅程管理というお仕事です。

一方で、c.は"正しい"内容です。第5条「契約の申込み」の中にこの規定があります。
申込書と申込金が必要なのは、まあ一般常識的にわかるとして、意外に出題機会が多いのが、文中で「通信契約を締結する場合を除き」と記された通信契約の場合の契約手続の方です。そちらはまたどこか別の過去問で出てきた際にお話ししましょう。

d.も"正しい"です。同じく第5条「契約の申込み」より。第3項にあります。
申込金を収受する目的は、この「取消料若しくは違約料」の取りこぼしがないようにするためと言っても過言ではないでしょう。何らかの理由でキャンセルが発生した折には、あらかじめ支払ってあった申込金額からこの取消料、違約料の類を差し引き、残額が払い戻しされます。キャンセルが無ければそのまま旅行代金の一部に充当する仕組みです。

最後に繰り返しとなりますが、やはり正解(正しい設定文の組み合わせ)は、選択肢イ.の c,d でした。
面白い事例かと思って解法プロセスを紹介してみたものの、少し乱暴すぎましたかね。
ここまではやりすぎとしても、反復練習により慣れを深めることでどんどん楽になること自体は間違いないかと思います。そこは信じていただけると幸いです。

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