【過去問解説】 清水寺ほか (令和4年出題)
「国内旅行実務」観光地選択問題から寺社を選ぶ出題です。
一見特徴を問う問題のように見えますが、実は問われているのは・・・
令和4年 国内実務 問題7(1) 配点2点/100点
次の文章を読み、以下の設問について該当する答を、選択肢の中からそれぞれ1つ選びなさい。
山が多く水に恵まれた我が国には河川が多く、各地に"川下り""ライン下り""舟下り"などと呼ばれる河川を利用した観光資源が存在する。
川下りには、急流のスリルを楽しむものや町中の水路から景色を楽しむものなど、さまざまなタイプがあるが、亀岡から(a)嵐山までの保津川を下る「保津川下り」は急流のスリルと渓谷美が人気。
一方、砂鉄川沿いの奇岩で知られる「(b)猊鼻渓舟下り」では船頭が唄う"げいび追分"と共にゆっくりと景色を楽しめるほか、国の名勝・天然記念物に指定された名所であり"岩畳"で知られる荒川上流域の「 A ライン下り(荒川ライン下り)」はコースによって急流も緩やかな流れも楽しめる。
また、北原白秋のふるさと(c)柳川の「川下り」のように市内にめぐらされた堀割を舟で行き来するものや、水郷・(d)潮来の「十二橋めぐり」のように水路から街の景色を楽しむものなどもあり、さまざまな川下りは老若男女を問わず人気が高い。
◎問題
下線(a)のエリアに最も近く、世界文化遺産「古都京都の文化財(京都市・宇治市・大津市)」の構成資産の1つでもある社寺は、次のうちどれか。
選択肢ア. 清水寺
選択肢イ. 下鴨神社
選択肢ウ. 醍醐寺
選択肢エ. 天龍寺
まず、設問文章自体は「川下り」について書かれたものですが、出題自体は「川下り」に関係無く、単にロケーション(位置関係)を問う内容になっています。
各観光地の特徴だけでなく、「どこにあるかもきちんと覚えましょう」という出題意図が含まれており、それはときに都道府県レベルにとどまらず、より小範囲の中での知識が必要になることもあります。
この問題はまさにその典型例。4つの選択肢いずれもが京都市に存在し、しかも全て「古都京都の文化財(京都市・宇治市・大津市)」の構成資産であるという念の入れよう。
つまり、"それぞれが京都市内のどの地区にあるのか"がわからなければ解くすべがありません。このパターンは割に見かけられますので、少なくても今回登場した京都の観光地は確実に"ロケーション込みで"頭に入れておきましょう。
設問文aの嵐山は、京都市の西寄り。正確には山の名前ですが、この地域一帯の地区名称(または嵯峨野と呼ぶケースも)でもあります。元々は平安貴族の別荘地だったことが発祥で、桜・紅葉をはじめとた風光明媚を売りにしており、個人・団体・修学旅行問わず人気の観光コースとなっています。渡月橋、保津川下り、嵯峨野トロッコ列車もこのエリア。
この地区にあるのは天龍寺(てんりゅうじ)、よって、選択肢エ.がこの問題の正解です。
天龍寺は足利尊氏が創立した禅寺で、法堂など歴史的建造物のみならず、曹源池庭園をはじめとした庭園回遊が有名で、有料拝観に関わらず多くの観光客で賑わいます。
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残りの3つは、嵐山とは京都市の中心部を挟んで、どちらかと言えば東サイドにあります。
まず、選択肢ア.の清水寺(きよみずでら)は東山地区。「清水の舞台」で有名な清水寺の他には、このエリアに知恩院・八坂神社・三十三間堂など著名な観光スポットが集まります。祇園もこの周辺。
京都駅からほど近い距離関係もあり、まずこの地区を訪れるという観光客も数多く存在します。
選択肢イ.の下鴨神社(しもがもじんじゃ)は京都市の左京区。先ほどの東山地区から見て北方向に位置します。この周辺には京都御所・銀閣寺・平安神宮などあり。
下鴨神社と上賀茂神社(京都市北区)は元々「賀茂社」という一つの神社でした。葵祭(毎年5月15日)はこの両社で催される例祭です。
選択肢ウ.の醍醐寺(だいごじ)はJR山科駅から地下鉄東西線で南下した場所にあります。京都市伏見区ですが、伏見稲荷など他の観光地とは離れた位置にあるので注意。ここまで来ると、距離的にはむしろ宇治市の方が近くなります(ただし、平等院はまだ少し先)。
醍醐寺は、豊臣秀吉の「醍醐の花見」で有名で、現代でも嵐山と一緒に「日本さくら名所100選」に選出されています。