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【過去問解説】 国内線航空券の取り扱い(全日本空輸)その1 (令和4年出題)

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国内線航空券の運賃形態は多岐に渡っており、利用方しだいでお得になる一方、変更に関する制約があったり払い戻し時の手数料が複雑であったりします。
全日本空輸ANA)のケースは毎年のように出題されるので過去問を通じてパターンを学んでおきましょう。

令和4年 国内実務 問題5(1) 配点4点/100点

全日本空輸の国内線において、次の航空便を利用する場合における設問に該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。

◎この設問で利用する航空便
令和4年8月1日(月)
羽田空港 14:20発  福岡空港 16:05着 ANA257便

◎問題
座席予約の変更、座席予約の取消し、航空券の払戻しに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(注1)旅客が所持する航空券は、利用する航空便の該当運賃での座席予約がなされているものとする。
(注2)座席予約の変更を行う場合において、変更の申出時点における変更先の航空便の該当座席に空席があるものとする。
(注3)座席予約の変更、座席予約の取消し、航空券の払戻しは、旅客の都合によるものとし、その申出は、航空会社の事業所の営業時間内に行うものとする。
(注4)航空券の払戻しは、当該航空券の払戻期間内に行うものとする。

選択肢ア.
ANA SUPER VALUE 55(ANAスーパーバリュー55)を適用した航空券を所持する旅客が、搭乗当日、羽田空港において利用する航空便の、プレミアムクラスへの座席予約の変更を申し出た。この場合、プレミアムクラスに空席があるときは、所定の追加代金を収受して座席予約を変更することができる。

選択肢イ.
ANA VALUE 7(ANAバリュー7)を適用した航空券を所有する旅客が、令和4年8月1日(月)の13時00分にANA257便の予約の取消しを行った。この場合、取消手数料は、運賃の約5パーセント相当額である。

選択肢ウ.
小児運賃を適用した航空券を所持する旅客が、搭乗当日の出発時刻までに座席予約を取り消し当該航空券の払戻しを申し出た。この場合、小児運賃の収受額の全額が払い戻され、払戻手数料及び取消手数料は不要である。

選択肢エ.
ANA VALUE 1(ANAバリュー1)を適用した航空券を所持する旅客が、座席予約を取り消すことなく令和4年8月2日(火)に当該航空券の払戻しを申し出た。この場合における取消手数料は旅客施設使用料を除く運賃の全額である。

 

 

全日本空輸の料金形態は、やはり全日本空輸のサイトで確認するのが一番確実です。そちらを見ながら確認していきましょう。

まず最初に、航空券を払戻しする場合の手数料は一種類ではないことをおさらいしましょう。
払戻手数料と取消手数料の2つです。前者は航空券の券片そのものに係るイメージで、1区間券片ごとに一律440円がかかります(つまり、例えば往復だと880円)。
後者は航空券の料金種別により変わります。"早期購入割引"性格の料金種別だと取消時期に応じて手数料(料率)も変動します。

さて、この問題の正解(誤っているもの)は選択肢ウ.です。

小児運賃は、小児(満3歳~11歳)に適用されるいわば正規運賃のようなものです。"早期購入割引"性格はありませんので取消手数料はかかりません。
が、払戻手数料は必要です。よって440円を差し引いた額が払い戻しされます。
なお、小児運賃の場合は、仮に出発時刻以降(乗り遅れ等)の払い戻しであっても、取消手数料が運賃の20%相当額止まり(つまり全額没収ではない、これに払戻手数料440円が加わる)のが特徴です。

これ以外の選択肢はいずれも"正しい"です。

選択肢ア.は、ANAスーパーバリュー55に限らず、"早期購入割引"系は予約変更(名義変更や搭乗便変更)が一切できないことで知られています。
唯一変更できるのが、この"プレミアムクラス変更"で、当該便のプレミアムクラス席に当日空席がある場合のみ変更可能です。この場合差額相当を支払うことにはなりますが「当日アップグレード料金表」という形で区間ごとに収受額が決められています。

選択肢イ.も"正しい"です。
ANAスーパーバリュー(21日以上)では搭乗日が近づくにつれ、次第に取消手数料(料率)が上昇していきますが、ANAバリュー(7日以下)では既に搭乗日間近なため取消手数料は一律明解で、それがこの「運賃の5%相当額」です。
ちなみに、ANAスーパーバリュー21で同じタイミング(搭乗日13日前以降)に払い戻しすると「運賃の60%相当額」になってしまうのでかなりの差ですね。

選択肢エ.もこの通りで"正しい"です。
ANAスーパーバリューであってもANAバリューであってもこの点は同じで、出発時刻を過ぎてからの払い戻しは取消手数料に「運賃の100%相当額」が適用されてしまうので、運賃部分の払い戻しはありません。

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