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【過去問解説】 旅行業法「旅行サービス手配業」 (令和4年出題)

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旅行者に直接対応する旅行業者等に対し、旅行サービス手配業者は旅行業者のためにだけ(つまり取次ぎや代理で)該当の業務を行う者を指します。
旅行業務取扱管理者を目指す方にとって、将来そちらに携わる方は少ないかと思いますが、どんな業態であるかは知っておきましょう。

令和4年 法令 問題(23) 配点4点/100点

旅行業法及びこれに基づく命令に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
旅行サービス手配業に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

選択肢ア.
旅行サービス手配業の登録の有効期間は、定められていない。

選択肢イ.
旅行サービス手配業者は、第2種旅行業者の営業所において選任されている旅行業務取扱管理者を、自らの営業所における旅行サービス手配業務取扱管理者として選任し、兼任させることができる。

選択肢ウ.
旅行サービス手配業者は、旅行サービス手配業務を他人に委託する場合においては、他の旅行サービス手配業者又は旅行業者に委託しなければならない。

選択肢エ.
旅行サービス手配業者は、運送サービス(専ら企画旅行の実施のために提供されるものに限る。)を提供する者に対し、輸送の安全の確保を不当に阻害する行為をしてはならない。

 

 

旅行サービス手配業の登録制度は平成30年に始まった比較的新しい取り決めですが、中身である「ランドオペレータ業務」は以前からあるものです。
・旅行業者等のために運送機関や宿泊施設の手配を代理で行う
・その他、ガイドの手配、免税店での物品販売手配など
かつてはきちんとした制度が無かったため、"ツアーバス事故"(輸送の安全性の低下)や"土産物店への連れ回し"(信頼性の低下)などが問題となり、追加で登録・研修制度や禁止・罰則事項の規定などが設けられる流れとなりました。

さて、この問題の正解(誤っているもの)は選択肢イ.なのですが、この問題に関しては条文に則してきっちり白黒言い切りできておりませんのですいませんがご了承ください。

と言いますのは、
・旅行業者において「旅行業務取扱管理者」の兼務は認められていない(地域限定旅行業者における例外規定有り)
・旅行サービス手配業者において「旅行サービス手配業務取扱管理者」の兼務は認められていない(例外規定無し)
というところまでは間違いありません。
では、旅行業務取扱管理者と旅行サービス手配業務取扱管理者の兼務は有りなの?ダメなの?と言えば、それが条文には明記されていないのです。
まあこのような"抜け道"(?)を誰も想定しないでしょうからわざわざ入れてなかったのでしょうが、現実的には営業所またぎどころか複数社またぎですし、実務遂行上でも無理が生じますからダメですね。

解説としてそれでは不十分かもしれないのでもう少しだけこじつけします。
既に旅行業登録されている業者は別途登録し直さなくても「旅行サービス手配業」を行えます(旅行業法第34条)。つまり、設問の"第2種旅行業者"はイコール旅行サービス手配業者であるとも言えます。
またこの場合、旅行サービス手配業務取扱管理者は、旅行業務取扱管理者がそのまま従事できます(同28条第5項参照)。よって、結局のところ旅行サービス手配業務取扱管理者どうしの兼務にも引っ掛かる形と考えられます。
第2種旅行業者の旅行業務取扱管理者 → 旅行サービス手配業を行う場合は旅行サービス手配業務取扱管理者 → やはり兼務できない
こんなところでどうでしょうか。

イ.以外の選択肢はいずれも"正しい"です。

選択肢ア.は、旅行サービス手配業において、旅行業のように登録有効期間の定めはありません(旅行業者代理業者と同じ)。
もちろん、登録内容の変更届出や事業廃止・登録廃止などの規定はそれぞれにあります。

選択肢ウ.も"正しい"です。
旅行サービス手配業者自体が依頼を受けた業務を他社に再委託することは構いません。ただし、その委託先がその資格を有していなければ話になりません。
旅行サービス手配業者どうしの委託は問題ないですが、前述の通り、旅行業者もイコール旅行サービス手配業者扱いなので、そちらへの委託でもOKです。

選択肢エ.も"正しい"です。
解説文の冒頭で述べたように、これこそが法制度の整備によって抑えたかった"禁止行為"の一つだと言えます。
きっかけとなった"ツアーバス事故"の事件を契機に、当時の手配業者からツアーバス会社に対する「不当な値下げ要求」や「長時間運転の要請」の実態が浮き彫りとなりました。
他の"禁止行為"については、旅行業法施行規則 第二章 第二節 第52条 に載っていますので併せてご覧ください。

くどいようですが、選択肢イ.が"誤り"とは100%言い切りできておりませんが、ア.ウ.エ.が"正しい"ことは間違いないので、「消去法でイ.が"誤り"」としていただく分には問題ないかと思います。

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