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【過去問解説】 旅行業法「外務員の証明書携帯等」ほか (令和4年出題)

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旅行業者の「外務員」をご存知ですか? 要は旅行者が営業所にわざわざ行かなくても、要望に応じて旅行業者の担当者がオフィスや家庭に来て説明や手続をしてくれる制度です。
ただ、"成りすまし"などトラブルを防ぐため、一定の決まりがあり、それをこの問題で取り上げています。

令和4年 法令 問題(15) 配点4点/100点

旅行業法及びこれに基づく命令に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
旅行業務取扱管理者の証明書の提示、外務員の証明書携帯等に関する次の記述から、正しいもののみをすべて選んでいるものはどれか。

a,旅行業務取扱管理者は、旅行者から請求があったときは、国土交通省令で定める様式による旅行業務取扱管理者の証明書を提示しなければならない。
b.外務員とは、勧誘員、販売員、外交員その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、旅行業者等のために営業所以外の場所で旅行業務について取引を行う使用人のことで、役員は除かれる。
c.第1種旅行業者以外の旅行業者等の外務員の証明書は、その主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事が発行する。
d.外務員は、その業務を行うときは、旅行者からの請求の有無にかかわらず、外務員の証明書を提示しなければならない。

選択肢ア. a,d 
選択肢イ. b,c 
選択肢ウ. a,c,d 
選択肢エ. a,b,c,d

 

 

旅行業者の営業所には「旅行業務取扱管理者」に加えて「外務員」という方がいらっしゃることがあります。
前述した通り、オフィスや家庭にやって来て、取引条件の説明や契約手続などいろいろ行ってくれる便利な存在です。その分、身元がしっかり保証されていなければならず、証明書の発行や携帯など規定できちんと定められています。

この問題では、まずbから見ましょう。先に言っておきますが、bは"誤り"です。
正しい条文では「旅行業者等のために営業所以外の場所で旅行業務について取引を行う役員又は使用人」であって、その営業所に居る全員が(この先旅行業務取扱管理者になる貴方を含めて)外務員を名乗る可能性があります。
もし、"役員は除かれる"と仮定したら・・・
・役員は外務員(営業所外の業務)を行ってはいけないのか
・あるいは役員は外務員を名乗らなくても営業所外の業務を行ってもよいの?
となんだかおかしな(複雑な)規定になってしまいます。
このあと出てくる「証明書の携帯」等の規定を確実に浸透させるためにも、"役員であろうと外務員は外務員"となっていた方が自然な話です。

次は、cの証明書の発行ですが、これも"誤り"です。
旅行業務取扱管理者証・外務員証ともに旅行業者が自社で発行します(ちなみに、旅行業者代理業者も所属旅行業者ではなく自社で発行)。
ただし、各社オリジナルというわけではなく、様式は国土交通省令で定められています(氏名・生年月日・顔写真・旅行業者名・営業所名など)。
旅行業務取扱管理者・外務員いずれについても、選任(または任命)して終わりではなく、この証明書を発行しなければその業務につけません。

さて、この時点でこの問題の正解(正しいものの組み合わせ)は確定ですね。
選択肢ア.の a,d となります。 

aとdはまとめて見ましょう。これらは"正しい"です。
・旅行業務取扱管理者証は旅行者から請求があったときだけ提示すればよい(常時携帯の必要はなく営業所内の自席等に置いてあってもよい)。
・外務員証は営業所外業務時には必ず携帯して必ず提示しなければならない。
という違いがあるのでセットで覚えておきましょう。

外務員は基本一人で相手先に赴き、旅行業者の全ての業務を行わなければなりません(チケットの発行など一旦持ち帰り仕事もありますが)。
つまり、営業所の看板を背負っているわけですので、証明書の有無ばかりではなく、しっかりとした能力と責任意識が必要なのは言うまでもありません。

最後に、旅行者側の責任について一つ触れておきましょう。
外務員は上記で述べた通り、営業所外での全取引権限を有していますが、仮に何かトラブルがあってもその責任は旅行業者が負います。
ただし、これには「旅行者に悪意があった場合を除き」という条件が付せられています。これは例えば、取引相手に外務員の資格が無いことを旅行者側が知っていたにも関わらず黙って契約に進んだケースなどでは救済されない可能性があることを指し、本当の文字通りの"悪意"に限った話ではありません。

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