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【過去問解説】 旅行業法「取引条件説明書面の交付」 (令和4年出題)

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「取引条件の説明」(口頭)と「取引条件説明書面の交付」は同じ中身のように見えますが、実際には違っているポイントがいくつかあります。
この問題ではそれらをまとめているのでこの機会に頭に入れておきましょう。

令和4年 法令 問題(13) 配点4点/100点

旅行業法及びこれに基づく命令に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
旅行業者等が旅行業務に関し旅行者と契約を締結しようとするときに、取引条件の説明にあたって旅行者に交付する書面に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

選択肢ア.
旅行業者等は、書面の交付に代えて政令で定めるところにより、旅行者の承諾を得て、書面に記載すべき事項を国土交通省令内閣府令で定める情報通信の技術を利用する方法により提供することができる。この場合において、当該旅行業者等は、当該書面を交付したものとみなす。

選択肢イ.
旅行業者等は、対価と引換えに法第12条の5に規定するサービスの提供を受ける権利を表示した書面を交付する場合であっても、旅行者に対して書面を交付しなければならない。

選択肢ウ.
旅行業者は、旅行に関する相談に応ずる行為に係る旅行業務について契約を締結しようとする場合にあっては、旅行者が旅行業者に支払うべき対価及びその収受の方法、並びにその対価によって提供を受けることができる旅行に関するサービスの内容を書面に記載しなければならない。

選択肢エ.
旅行業者等は、企画旅行契約を締結しようとする場合は、当該契約に係る旅行業務取扱管理者の氏名及び旅行者の依頼があれば当該契約に係る旅行業務取扱管理者が最終的には説明を行う旨を、書面に記載しなければならない。

 

 

取引条件説明書面に載せなければいけない項目の一覧は、「旅行業者等が旅行者と締結する契約等に関する規則」(平成二十一年内閣府国土交通省令第一号)に載っています(場所は第5条のところです。ちなみに第9条は契約書面なので間違えないように。)ので検索して併せて参照ください。

この問題の正解(誤っているもの)は選択肢イ.です。

取引条件説明書面は基本的に必須発行ですが、例外規定があります。
旅行業法本文の中では第12条の4の第2項で「国土交通省令内閣府令で定める場合を除き」と書いてあるだけですが、前述の「旅行業者等が旅行者と締結する契約等に関する規則」第4条にその続きがあります。
「対価と引換えに旅行サービスの提供を受ける権利を表示した書面を交付する場合」とありますが、これはすなわち、手配した乗車券・航空券や宿泊クーポンが存在し、それだけで説明が十分事足りてしまう(日付・サービスの内容・金額・注意事項など)場合を指します。取引頻度も多く、いちいち別の書面を発行するのは煩雑なので、このケースでは免除されているのです。

それ以外の選択肢はいずれも"正しい"内容です。

選択肢ア.の内容は、「情報通信の技術を利用する方法」と呼ばれ、昨今では電子メールや添付ファイルなどでたいていのものが送れますので、一定の条件を満たせば紙面印刷の書面は不要とする規定です。
・旅行者の承諾を得ること
・旅行者の意志で印刷も可能なデータ形式でなければならない
・電子メール、添付ファイルの他、磁気ディスクやCD-ROMなどでもよい
・旅行者が閲覧可能な機器を持っていない場合は旅行業者所有の機器を貸し出す形でもよい

選択肢ウ.は少しだけ"引っ掛け"がありますので注意。
「旅行者が旅行業者に支払うべき対価及びその収受の方法、並びにその対価によって提供を受けることができる旅行に関するサービスの内容」は掲載必要項目の一覧に載っているので問題ないのですが、注目したいのは冒頭の「旅行に関する相談に応ずる行為」(旅行相談契約)の箇所です。
結論から言えば、旅行相談契約であっても取引条件説明書面は必要なので、ウ.は"正しい"です。"引っ掛け"は、旅行相談契約では「契約書面は不要」な点で、これを取り違えてしまうと"ウ.が誤り"と誤答してしまいます。気を付けましょう。

選択肢エ.は、「取引条件説明書面には載っている(掲載必須)けど口頭説明では不要(省略可)」な項目の一例です。他の例では「企画旅行業者の住所並びに登録番号」などがあります。
実際の取引現場では、取引条件説明書面を見ながら口頭で一文ずつ説明していく光景がイメージされますが、上記に挙げたような項目は"口頭説明を飛ばしてもよい"のです。

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