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【過去問解説】 フェリーを含む一般旅客定期航路事業に関する標準運送約款 (令和3年出題)

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海上運送機関(船舶)にも約款は存在します。同じく基本的には各社各様ですが、標準的約款が存在するので旅行業務試験においてはその範疇から出題されます。

令和3年 約款 問題3 配点4点/100点

海上運送法第9条第3項の規定に基づく標準運送約款(フェリーを含む一般旅客定期航路事業に関する標準運送約款)に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。

選択肢ア.
自動車航送を行う場合であって、当該自動車の運転者が2等船室以外の船室に乗船しようとするときは、フェリー会社は、当該船室に対応する運賃及び料金の額と2等運賃の額との差額を申し受け、これと引き換えに補充乗船券を発行する。

選択肢イ.
フェリー会社は、フェリーの乗船者に疾病が発生した場合など健康が著しく損なわれるおそれがある場合は、予定した船便の発着日時の変更の措置をとることがある。

選択肢ウ.
フェリー会社は、旅客が小学校に就学していない小児で、付添人のない者である場合は、当該旅客の運送契約の申込みを拒絶することがある。

選択肢エ.
旅客が疾病により継続して乗船することができなくなった場合において、フェリー会社は、当該旅客の乗船券の未使用区間について、14日間を限度として、その通用期間を延長する取扱いに応じる。

 

 

約款の正式名称はやたら長いですね。検索の際には後半の「フェリーを含む一般旅客定期航路事業に関する標準運送約款」をコピペして利用すると早いです。

この問題の正解(誤っているもの)は選択肢エ.です。

疾病その他不可抗力による事情で乗船を継続できなくなるのは止むを得ない事情です。そのような旅客に対して乗船券の通用期間を延長できる規定は救済措置として存在します。
ただしその延長期間は「最大14日間」ではありません。正しくは7日間までで、それまでに原因(疾病など)が解消し旅行が再開できるようになればその乗船券で先へ進めます。


 

これ以外の選択肢はいずれも"正しい"です。

選択肢ア.では船舶に特有の「自動車航送」について述べています。
自動車航送料金にはその自動車の運転者の2等船室運賃が含まれます(同乗者は一般の徒歩乗船客と同じ扱い)。ただ、だからといって2等船室に乗船することが強制されるわけではなく好みに応じて他の等級に変えることも可能です。
問題はその際に、"2等船室の乗船権利"がどうなるのか。放棄ではなく、当該運賃分の権利を保持した上での等級変更、つまり乗船等級との差額を収受するというのがこの規定です。この場合、その差額を収受したことを証明するために発行するのがこの補充乗船券です。

選択肢イ.も"正しい"です。
一旦出航してしまえば、次の寄港地まで船内に急病の旅客が発生してもなかなか緊急輸送などの措置はとれません。例えば出航前に発覚したのであれば発時刻を遅らせてでもその対応をとることでしょう。あるいは航送中に可能であれば到着時間を早めて次の寄港地で搬送するということもあるかと思います。
一人の旅客に対して大袈裟な、という見方もあるかもしれませんが、元々船舶は気象条件などで運航が左右されやすく、いろいろな事象で発着時刻変更や運航中止の判断が臨機に判断できるようにもなっているのです。

選択肢ウ.も"正しい"です。
「小学校に就学していない小児」と言えば、"運賃無償扱い"(大人に同伴されていれば、ですが)というイメージが思い浮かぶことでしょう。
無償だから、というわけではないですが、付添人無しで当該の小児が単独乗船することは基本的に認められていません。
同様に付添人の無い重症病者の場合も同じです。要は同乗者が居ないと船内での安全を確保しかねるという観点でしょう。


 

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