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【過去問解説】 標準旅行業約款「旅行業者の解除権等−旅行開始前の解除」 (令和3年出題)

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募集型企画旅行の契約を旅行業者側から解除するケースの出題です。
大きく分けて個別解除(旅行者側に責任がある場合)と催行中止(旅行の実施自体が行えないとき)があります。

令和3年 約款 問題1(7) 配点4点/100点

標準旅行業約款に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
募集型企画旅行契約の部「旅行業者の解除権等−旅行開始前の解除」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか(選択肢ウ.以外は、解除に係る旅行者への理由説明を行うものとする。)。

選択肢ア.
9月5日を旅行開始日とする宿泊を伴う国内旅行において、参加する旅行者の数が契約書面に記載した最少催行人員に達しなかったことから、旅行業者が当該旅行の契約を解除しようとするときは、旅行者に当該旅行を中止する旨を遅くとも8月22日までに通知する。

選択肢イ.
花見を目的とする日帰りの国内旅行において、開花が遅れ当該旅行の目的が成就しないおそれが極めて大きいことから、旅行業者が当該旅行の契約を解除しようとするときは、旅行開始日の前日から起算してさかのぼって3日目に当たる日より前までに、当該旅行を中止する旨を旅行者に通知しなければならない。

選択肢ウ.
旅行者が契約書面に記載する期日までに旅行代金を支払わないときは、旅行業者は、当該期日の翌日において旅行者が契約を解除したものとし、この場合において、旅行者は、旅行業者に対し、取消料に相当する額の違約料を支払わなければならない。

選択肢エ.
通信契約を締結した場合であって、旅行者の有するクレジットカードが無効となり、当該旅行者が旅行代金等に係る債務の一部又は全部を旅行業者が提携するクレジットカード会社のカード会員規約に従って決済できなくなったとき、旅行業者は、当該旅行者との契約を解除することがある。

 

 

「旅行業者の解除権等−旅行開始前の解除」は約款(標準旅行業約款 募集型企画旅行契約の部)第17条に出てきます。

この問題の正解(誤っているもの)は選択肢イ.です。

エッ? 国内の日帰り旅行だから「旅行開始日の前日から起算してさかのぼって3日目に当たる日より前まで」で合ってるんじゃないの? と思った方は残念ながら引っ掛けに遭っています。
この通知期限が設定されているのは、「最少催行人員未達による催行中止」の場合のみであって、他の理由による個別解除・催行中止においては通知期限の定めが無いのです。
本件のような「メインである花見が実現しないおそれ」や「スキーなのに降雪が無い」などの自然条件が理由での催行中止自体は認められています。ただ、そのケースでは前述の通り通知期限が定められていないので選択肢イ.は"誤り"となります。

これ以外の選択肢はいずれも"正しい"です。

選択肢ア.は先ほど出てきた「最少催行人員未達による催行中止」の正しいパターンですね。
「旅行開始日の前日から起算してさかのぼって〇日目に当たる日より前まで」という言い回しが少しやっかいですが、
・国内宿泊旅行の場合であれば13日
・日帰り旅行の場合であれば3日
・海外旅行の場合であれば23日
・オンピークの海外旅行は33日
が〇の箇所に入ります。
「旅行開始日の前日から起算」というのがややこしいので、旅行開始日からカウントしたければプラス1日しましょう。
この設問では、旅行開始日は9月5日→その14日前(13日にプラス1日しています)は8月22日 となるので通知期限8月22日で合っています。

選択肢ウ.も"正しい"です。
契約解除の期日(旅行代金支払期限の翌日)もこれで合っています。いわば"自動キャンセル"のようなものなので支払い忘れには気を付けましょう。
なお、「取消料に相当する額の違約料」は別途旅行者から支払いを受けなくても、事前に収受している申込金から充当(返金分から相殺)されるので取りこぼしはありません。

選択肢エ.も"正しい"です。
選択肢ウ.のケースと似ているとも言えますが、こちらのケースでは必ずしも旅行者の過失(ミス)とは言いきれない場合があり得るので"自動キャンセル"とはなりません。当該旅行者に連絡し、事実関係を確認した上で措置されることとなるでしょう。

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