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「黒部宇奈月キャニオンルート」 新旅行商品誕生

富山県を代表する観光資源である「立山黒部アルペンルート」と「黒部峡谷鉄道トロッコ列車)」。この2つを繋ぐ新しい旅行商品が誕生することになった模様です。

その名も「黒部宇奈月キャニオンルート」。前述の"立山黒部"の黒部ダムと"黒部峡谷"の欅平駅の間を結びます。
地名を見て、「オヤ?」と思った方はツウですね。この区間は一般の旅行客には開放されていなかったものの、これまで関西電力が「無料見学会」の名称で参加者を毎年募集していたものです。
実は私も以前応募参加したことがあります。

 


 

 

ルートの中身自体はこれまでの「無料見学会」のときと同じです。
欅平駅(通常はこの駅が終点)からさらにトロッコ列車で先にあるトンネルの奥まで進む
・竪坑エレベーターで200m上まで上昇
・専用鉄道線の車両に乗り換えて黒部川第四発電所へ(見学)
インクライン(貨物用の大型ケーブルカーのようなもの)でさらに上昇
・専用バスに乗り換えて黒部ダム
この逆順ルートもあります。

2024年から切り替わるのは、これが個人参加(応募→抽選→各自自費で現地集合)であったものが、各旅行会社が主催する募集型企画旅行(パッケージツアー)の一部に組み込めるようになったこと。なので、個人個人の応募手続は不要となり、前後の行程もセットで組まれることになりました。
主に、
立山側から入山。「称名滝」(車窓見学)「室堂」「黒部ダム」を経て「黒部宇奈月キャニオンルート」に入る。欅平から「トロッコ列車」に乗って宇奈月温泉で一泊。
・長野県扇沢側から入山。「黒部ダム」見学後に「黒部宇奈月キャニオンルート」「トロッコ列車」で宇奈月へ抜ける。(上のプランよりお手軽)
・もしくはこれらの逆コース。
辺りの旅行商品プランが想定できます。

旅行会社にとってみれば、定番の立山黒部観光に新パターンを加えることができるので歓迎ムードでしょう。
特に、「黒部ダム」と「トロッコ列車」「宇奈月温泉」を組み合わせやすくなったことが大ですね。これまでもそういう商品は存在しましたが、所要時間がかかるのでこの部分だけでも最低で2日分ぐらいは費やすのがネックでした。
宇奈月温泉」「トロッコ列車」サイドにも当然メリットでしょう。これまでは欅平終点まで往復するだけの観光行程しか組めなかったのが、新たに「立山黒部アルペンルート」からの"通り抜け型"旅行者を呼び込めることになります。北陸新幹線効果(黒部宇奈月温泉駅)と相まってさらに発展するとよいですね。

 

 

さて、一般旅行者の観点からはどうでしょうか。
先ほど述べた通り、個人で応募(抽選待ち)する必要はなくなりました。好きな日程(行程)の旅行商品を選んで申し込み参加するだけです。
その代わり、自由度は失われます。「黒部ダム」辺りや他の観光地でもう少しゆっくり見ていきたいなー、と思っても団体行動で一緒に進まなければいけません。

加えてひとつ、肝心なポイントがあります。これは公式発表でもあまり触れられていないのですが。。。
これまでは「無料見学会」でした。新体制ではたぶん有償扱いの旅客受け入れに変わるかと思われます。
もちろん(個人参加はできなくなるので)その対価を直接支払うのは旅行会社(→関西電力へ)です。旅行会社が相当額を旅行代金に上乗せするのでしょうが、増分がいくらなのか明確にされない可能性は大でしょう。

もっとも(これは実際に「無料見学会」時代に体験した私の実感でもありますが)それでも一般旅行者にとっては最終的にお値打ちな方向になるかと予想します。
なぜなら「立山黒部アルペンルート」や「トロッコ列車」の個人切符は結構高いのです。前後の行程が"団体料金"になると考えれば相当浮くはずなんですがどうでしょうか?
団体ツアー(団体行動)がお嫌いでない方ならぜひおススメしたいコースでもあります。2024年の新生スタートをお楽しみに。