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令和4年過去問解説 全問対応しました 「趣味は旅行です」から1ランク上を目指す方へ!

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【過去問解説】 芦原温泉ほか (令和3年出題)

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「温泉」が行先ですが、温泉そのものの特徴ではなく道中の交通機関(列車)と駅が出題対象となっている珍しい問題です。
観光列車はそれ自体が旅の目的となっていて観光客の集客にも一役買っています。

令和3年 国内実務 問題5(9) 配点2点/100点

以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
西日本旅客鉄道JR西日本)及びIRいしかわ鉄道の観光列車「花嫁のれん」の沿線で訪れることができる温泉の最寄駅(観光列車停車駅)は、次のうちどれか。

選択肢ア. 芦原温泉
選択肢イ. 和倉温泉
選択肢ウ. 別所温泉
選択肢エ. 宇奈月温泉

 

 

正解(当てはまるもの)は選択肢イ.の和倉温泉(わくらおんせん)です。

和倉温泉があるのは石川県七尾市で、能登半島の中間ぐらいの位置にあります。設問文の「IRいしかわ鉄道」から石川県に関係する温泉を選んでも正解にたどり着けます。
花嫁のれん」号は2015年の北陸新幹線金沢開業を受けて新設された列車で、金沢駅和倉温泉駅の間を結びます。
石川県加賀地方の伝統文化である花嫁のれんは婚礼道具の一つで、これをくぐって嫁入りするというしきたりに使われるものです。
列車の外観は加賀友禅や金沢の金箔をイメージしたきらびやかなもので、車内では有料での食事サービスも提供されます。


 

選択肢ア.の芦原温泉(あわらおんせん)は福井県あわら市にあります。ただし、JR北陸本線芦原温泉駅は駅名となっている温泉から東に5キロ離れた位置にあり、旅行客はバス・タクシーやあるいは福井駅からえちぜん鉄道で当温泉へ向かいます。
現在は特急「サンダーバード」「しらさぎ」の停車駅ですが、2023年度末に予定されている北陸新幹線敦賀延伸により新幹線停車駅となります。

選択肢ウ.の別所温泉(べっしょおんせん)は長野県上田市です。
別所温泉駅北陸新幹線上田駅との間は上田交通というローカル私鉄が結びます。
北陸新幹線(当時は長野行新幹線と呼ばれていた)開業や長野オリンピック大河ドラマ放映などの際にたびたび話題に上る温泉地です。
信州最古の温泉と呼ばれており、かつては周辺で盛んだった養蚕とともに賑わいました。

選択肢エ.の宇奈月温泉(うなづきおんせん)は富山県黒部市にあります。
宇奈月温泉駅富山地方鉄道の終点駅で、北陸新幹線黒部宇奈月温泉駅と乗り換えできるようになった(新黒部駅新設)以降は、当温泉や黒部峡谷鉄道トロッコ列車へのアクセスが便利になりました。
温泉は大正時代に開設され、黒部川電源開発黒部峡谷観光により全国的に知られてきました。


 

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【過去問解説】 JR営業規則 (令和3年出題)

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JRの営業規則から詰め合わせ問題です。
どこかで見たようなものが並んでいるので解くのはさほど難しくないかと思います。

令和3年 国内実務 問題2(4) 配点4点/100点

旅客鉄道会社(JR)に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
(注)選択肢イ.について、名古屋駅から京都駅までの東海道新幹線を経路とする片道の営業キロは147.6キロである。

選択肢ア.
特急「成田エクスプレス」の指定席特急券を所持する旅客が、旅客の都合により指定の列車に乗り遅れたとき、当該指定された列車の乗車日と同じ日であれば後続の特急「成田エクスプレス」を立席又は普通車の空席がある場合は空席を利用することができる。

選択肢イ.
金山駅名古屋市内の駅)を発駅とし、東海道本線東海道新幹線山陰本線を乗り継いで花園駅京都市内の駅)を着駅とするときの運賃は、金山駅から花園駅までの営業キロを用いて計算する。

選択肢ウ.
大人に同伴された5歳の幼児が、快速列車の指定席を1人で利用するとき、小児の運賃のみを収受し、小児の指定席料金は収受しない。

選択肢エ.
東海道・山陽・九州新幹線の一部の列車について、タテ・ヨコ・高さの合計が160センチメートルを超え250センチメートル以内の物品(一部を除く。)を車内に持ち込む場合、特大荷物スペースとセットで発売する座席の指定券を当該列車に乗車する前に購入したときは、追加の料金は不要である。

 

 

この問題の正解(誤っているもの)は選択肢ウ.です。

幼児の扱いは皆さんも既にご存知かと思いますが、
・1歳以上6歳未満に適用、ただし6歳でも小学校入学前は含む
・切符を所持する大人または小児に同伴される場合は1人につき幼児2人まで無料
・指定が必要な指定席、グリーン席、寝台を幼児(または乳児)が1人で占有利用する場合は小児扱いとなる
選択肢ウ.のケースでは、小児の運賃と小児の指定席料金が必要となります。よって"誤り"です。


 

これ以外の選択肢はいずれも"正しい"です。

選択肢ア.は特急指定席のいわゆる"乗り遅れ救済策"の話ですね。
乗り遅れた場合、変更や払いもどしはできませんが、そのまま当日後続の特急列車に乗車できます。ただし、自由席利用のみ。「成田エクスプレス」には自由席がありませんので、立席または空席利用(グリーン車は除く)となります。

選択肢イ.も"正しい"です。
金山駅名古屋市内の駅、花園駅京都市内の駅なので、運賃計算の際にはまず名古屋駅名古屋市内の中心駅)と京都駅(京都市内の中心駅)の間のキロ数を見ます。設問文の注釈に「名古屋駅から京都駅まで147.6キロ」とありますね。
ここがポイントで、もし仮に営業キロが201キロ以上であれば「名古屋市内→京都市内」の切符になるところでした。このケースでは200キロ以内なので、実際に乗車する「金山→花園」の切符となり、運賃もその区間の値段になります。
ちなみに、市内発(市内着)の切符では同一市内の駅では途中下車できません(前途無効)が、今回の場合はそれに当たらないので、名古屋駅や京都駅でも途中下車(改札出入場)が自由に行えます。

選択肢エ.も"正しい"です。
新幹線の「特大荷物持込」の新ルールは2020年5月から適用(元々は東京オリンピック対応だった)されたので、実際に利用したことのある方でなければまだ馴染みが薄いかもしれません。サイズ(タテ・ヨコ・高さの合計が160センチメートルを超え250センチメートル以内)はこれで合ってるんだっけ? と迷った方もいるでしょう。
事前予約をしなかった場合でも、当日乗車前であれば乗車駅で予約変更を行うことで無料対応できます。気付かずに車内まで持ち込んでしまった場合は手数料(有料)が必要となります。

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【過去問解説】 標準旅行業約款「旅行業者の解除権−旅行開始後の解除」 (令和3年出題)

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無事出発できたとしても、旅行の途中において以後の継続が行えなくなるケースはやはり発生し得ます。
そのような場合の対処規定も約款では定められています。

令和3年 約款 問題1(8) 配点4点/100点

標準旅行業約款に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
募集型企画旅行契約の部「旅行業者の解除権−旅行開始後の解除」に関する次の記述から、正しいもののみをすべて選んでいるものはどれか(いずれも解除に係る旅行者への理由説明は行うものとする。)。

a.旅行者が必要な介助者の不在により旅行の継続に耐えられないため、旅行開始後に旅行業者が契約の一部を解除したときは、旅行業者と旅行者との間の契約関係は、将来に向かってのみ消滅する。この場合において、旅行者が既に提供を受けた旅行サービスに関する当該旅行業者の債務については、有効な弁済がなされたものとする。
b.旅行目的地において地震が発生し当該旅行の継続が不可能となり、旅行業者が契約の一部を解除した場合において、旅行業者は、旅行代金のうち旅行者がいまだその提供を受けていない旅行サービスに係る部分に係る金額から、当該旅行サービスに対して取消料、違約料その他の既に支払い、又はこれから支払わなければならない費用に係る金額を差し引いたものを旅行者に払い戻す。
c.旅行者が旅行を安全かつ円滑に実施するための添乗員の指示に従わず、団体行動の規律を乱し、当該旅行の安全かつ円滑な実施を妨げるため、旅行業者が契約の一部を解除した場合において、旅行業者は、旅行代金のうち旅行者がいまだその提供を受けていない旅行サービスに係る部分に係る金額を旅行者に対し払い戻すことを要しない。

選択肢ア. a,b
選択肢イ. a,c
選択肢ウ. b,c
選択肢エ. a,b,c

 

 

「旅行業者の解除権−旅行開始後の解除」は約款(標準旅行業約款 募集型企画旅行の部)第18条に出てきます。

まず、a.の文面は"正しい"です。
「旅行者が病気、必要な介助者の不在その他の事由により旅行の継続に耐えられないとき」は、旅行途中であっても個別の契約解除できる事例に挙げられています。
ただ、後半の文章はこの契約解除理由に限らず、他の理由による契約解除の場合と共通です。
旅行の行程の途上であるので、既にここまでで経過(提供済)している旅行サービスについては債務が完了しており、事後弁済の対象にはなりません。この後に"払い戻し"に関する解説が出てきます(後述)が、その払い戻し対象となるのはあくまで未提供の旅行サービス部分に限られる、ということに繋がる規定となっています。


 

b.も"正しい"です。
旅行目的地における地震の発生は、「天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の当社の関与し得ない事由が生じた場合であって、旅行の継続が不可能となったとき」に相当し、契約解除可能な状況の一つです。
こちらの文面も後半は他の理由による契約解除の場合と共通です。"払い戻し"について述べています。
・まず、未提供の旅行サービス部分の代金が対象(提供済部分は払い戻しされない)
・該当する旅行サービスのキャンセルに伴い取消料や違約料が免除されない場合は旅行者負担(払い戻し額から差し引く)
・その他の費用についても支払免除できないものは同様(払い戻し額から差し引く)
この結果、残った金額が最終的に払い戻しされます。
旅行者側に責任(過失など)がある契約解除ならともかく、地震など止むを得ない理由での解除なのに取消料その他まで負担しなければいけないのは納得しにくいところですが、約款ではあらかじめこのように規定されているのです。

一方で、c.は"誤り"の内容です。
前半の契約解除理由までは正しいです。約款では「旅行者が旅行を安全かつ円滑に実施するための添乗員その他の者による当社の指示への違背、これらの者又は同行する他の旅行者に対する暴行又は脅迫等により団体行動の規律を乱し、当該旅行の安全かつ円滑な実施を妨げるとき」と定められています。
問題は後半部分です。純粋な旅行者側責任、仮に故意・過失や悪意があった場合であろうとも、契約解除に際し未提供の旅行サービス部分の弁済(払い戻し)を無しにする訳にはいかないのです。
先ほどa・bの解説で「他の理由による契約解除の場合と共通」と述べましたがその通りで、どの理由であっても同じルールにより残額の払い戻しが成される点については変わりありません。

以上によって、この問題の正解(正しいものの組み合わせ)は選択肢ア.(a,b)となります。

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【過去問解説】 旅行業法「旅行業務取扱管理者の職務」 (令和3年出題)

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実際に本試験に合格し、旅行業者に就職するといつか従事する可能性があるのが旅行業務取扱管理者です。
職務として何をしなければいけないのかぐらいは見ておきたいですよね。この問題ではその点に触れています。

令和3年 法令 問題(8) 配点4点/100点

以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
次の記述のうち、旅行業務取扱管理者の職務として定められていないものはどれか。

選択肢ア.
旅行に関する苦情の処理に関する事項

選択肢イ.
法第12条の5の規定による書面の交付に関する事項

選択肢ウ.
法第12条の5の2の規定による旅行業務取扱管理者の証明書の提示に関する事項

選択肢エ.
法第12条の10の規定による企画旅行の円滑な実施のための措置に関する事項

 

 

「旅行業務取扱管理者の職務」は実は旅行業法本文の中には書いてありません。なので不安になった方も中にはいらっしゃるでしょう。
でも明記されているところはきちんとあります。旅行業法施行規則を見てみましょう。場所は 第2章 第1節 第10条 のところです。

この問題の正解(旅行業務取扱管理者の職務に含まれないもの)は選択肢ウ.です。

まず、選択肢ウ.の文面が何を述べているのかと言えば、それぞれの営業所で従事する旅行業務取扱管理者は国土交通省令で定めれた様式の証明書を所持しなければいけません。その様式には、
・氏名、生年月日
・所属旅行業者及び営業所名
・選任された旅行業務取扱管理者である旨
・顔写真
などが定められています。
常時提示する必要はありませんが、旅行者から提示請求があった際には提示しなければいけません。
では、これも職務の一つじゃないの? と言いたいところですね。先ほど挙げた旅行業法施行規則(第2章 第1節 第10条)はご覧になりましたか?
そこでは職務と規定されている項目が一つ一つ列挙されています。この後に解説する選択肢(ア.イ.エ.)はその中に出てきますがウ.に当たるものが書いてありません。よって、消去法で選択肢ウ.が誤りという解釈もできます。ウ.は義務ですが職務ではないのです。

残りの選択肢が書いてあるかきちんと見ておきましょう。

選択肢ア.はこの文面通りに出てきます。(旅行業法施行規則 第2章 第1節 第10条 の8項目)
苦情に対して適切な対応ができるかどうかはやはりそれなりの知識と経験を必要とします。
管理監督業務を行う旅行業務取扱管理者に相応しい職務と言えます。

選択肢イ.とエ.も同じくこの通り規定されており間違いありません。
ここで言う「書面の交付」には、旅行者と取り交わす契約書面・確定書面などだけでなく、それ以外の関連業者との間で業務契約を締結する際に必要な書面なども含まれます。これらの発行の責任者は旅行業務取扱管理者でなければいけません。
「企画旅行の円滑な実施のための措置」には旅行の企画・手配から契約だけでなく旅程管理など一連の業務が全て含まれます。もちろん旅行業務取扱管理者が全ての作業を一人だけで行うわけではないですが、管理監督者として全体を把握統括します。


 

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【過去問解説】 神庭の滝ほか (令和3年出題)

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華麗であり荘厳でもある滝は人気の観光コースの一つになっています。
近年ではマイナスイオンやパワースポットの話題で取り上げられることも多くなりました。

令和3年 国内実務 問題5(8) 配点2点/100点

以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
飛瀧神社御神体として崇められ、別名「三筋の滝」とも呼ばれる滝で、ユネスコ世界遺産の一部にもなっている滝は、次のうちどれか。

選択肢ア. 神庭の滝
選択肢イ. 華厳ノ滝
選択肢ウ. 称名滝
選択肢エ. 那智の滝

 

 

正解(当てはまるもの)は選択肢エ.の那智の滝(なちのたき)です。

那智の滝および飛瀧神社(ひろうじんじゃ)があるのは和歌山県南東部の那智勝浦町です。なお、飛瀧神社には本殿や拝殿が無く、御神体である那智の滝を直接拝むスタイルの珍しい神社となっています。
構成資産になっている世界遺産は「紀伊山地の霊場と参詣道」。そちらでは「那智大滝」の名称で登録されています。近くにある青岸渡寺(せいがんとじ、同じく「紀伊山地の霊場と参詣道」構成資産)の三重塔と一緒に収まったスナップでも知られています。

選択肢ア.の神庭の滝(かんばのたき)は岡山県北部の真庭市にあります。
落差が110mある日本有数の滝で、滝の中央には水に逆らって上る姿に見える"鯉岩"があります。
滝の周辺には餌付けされた野猿が生息し、そちらが目当ての観光客も訪れます。

選択肢イ.の華厳ノ滝(けごんのたき)は栃木県日光市にあり、中禅寺湖から流れ出ています。「けごん」の名は東京浅草と日光を結ぶ東武鉄道特急の愛称にもなっています。
この滝を正面間近から見るには、有料エレベーターで滝つぼ近くの高さまで降り、そこの観瀑台から眺める方法が一般的です。


 

選択肢ウ.の称名滝(しょうみょうだき)は富山県立山町にあり、四段構成ではありますが、落差350mは日本一とも言われます。
直接滝つぼ近くまで行ける観光ルートの他、ちらりとですが立山黒部アルペンルートの高原バスからも遠望できます。

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【過去問解説】 JR券の取扱その2 (令和3年出題)

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この問題は単純に乗車券と特急券の取扱の正誤を問う形になっているように見えますが、実は盲点(規則にきちんと書いていない?)があります。
しっかり覚えて知識に蓄積しておきましょう。

令和3年 国内実務 問題2(3) 配点4点/100点

旅客鉄道会社(JR)に関する以下の設問について、選択肢の中から答を1つ選びなさい。
無割引の大人1人が6月30日に新横浜駅から東京駅まで新幹線の自由席に乗車するときに必要な次のJR券に関する記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
(注1)このJR券の購入、変更、払いもどしは、JRの駅で指定券を発売している時間内に行うものとする。
(注2)このJR券の変更、払いもどしは使用開始前で有効期間内に行うものとする。
(注3)本設問における変更、払いもどしは旅客の都合によるものとする。
(注4)新横浜駅から東京駅までの東海道新幹線を経路とする片道の営業キロは28.8キロである。

◎JR券の内容
・乗車券、新幹線特定特急券を1券片で発行
・新横浜→東京駅間
・乗車券510円、新幹線特定特急券870円、計1,380円
・「乗車券は下車前途無効」の記載有り
・「自由席車にお乗りください」の記載有り

選択肢ア.
このJR券の発売日は6月30日のみである。

選択肢イ.
この特定特急券は、1回に限って指定席特急券に手数料なしで変更することができる。

選択肢ウ.
このJR券を6月30日に払いもどすとき、所定の払いもどしの手数料が差し引かれ940円が払いもどされる。

選択肢エ.
この特定特急券は6月30日のみ有効である。

 

 

この問題の正解(誤っているもの)は選択肢ア.です。

乗車券(営業キロ100キロ以下)と特定特急券だけなので、乗車当日にしか買えないと思っている方も結構いるかと思います。
JRの営業規則でも「乗車券を指定席券と同時に購入する場合は1か月前の10時から」と書いてあることがありますが、自由席(特定特急券)は言及されていません。
ところが実際に駅の「指定席券売機」で購入すると、指定席の場合はもちろん、自由席券(プラス乗車券)であっても事前購入操作できるのです。これを知っているかどうかがカギになります。
当然、窓口購入で断られるいわれはありません。必要な方は、乗車日・区間・自由席利用であることを述べた上で堂々と事前購入しましょう。

これ以外の選択肢はいずれも"正しい"です。

選択肢イ.は特急券の変更に関する規定です。
自由席券や特定特急券は、使用開始前で有効期間内であることを条件に1回目は手数料無しで他の券に変更できます。
変更先は同じ種類(自由席券・特定特急券)だけでなく、指定席券(特急券・グリーン券・寝台券)でも大丈夫です。
逆の変更(指定席券から自由席券・特定特急券)はできません。ただ、指定席券は"乗り遅れ救済策"として後続列車の自由席に便宜乗車できる規定があります。(あくまで便宜措置であって、自由席特急券としての効力(例えば払い戻し)はありません)

選択肢ウ.も"正しい"です。
乗車券の払いもどし手数料が220円、特定特急券の払いもどし手数料も220円、計440円が差し引かれます。
よって、払いもどし額は 1,380-440=940円で合っています。

選択肢エ.も"正しい"です。
選択肢ア.の解説で「事前購入は可能」と述べましたが、この設問の乗車券・特定特急券ともに有効期間が1日限りであることに変わりは有りません。
事前購入の際には乗車日を忘れず申告するようにしましょう。黙っていると発売当日有効の切符が出てきます。

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【過去問解説】 標準旅行業約款「旅行業者の解除権等−旅行開始前の解除」 (令和3年出題)

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募集型企画旅行の契約を旅行業者側から解除するケースの出題です。
大きく分けて個別解除(旅行者側に責任がある場合)と催行中止(旅行の実施自体が行えないとき)があります。

令和3年 約款 問題1(7) 配点4点/100点

標準旅行業約款に関する以下の設問について、該当する答を、選択肢の中から1つ選びなさい。
募集型企画旅行契約の部「旅行業者の解除権等−旅行開始前の解除」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか(選択肢ウ.以外は、解除に係る旅行者への理由説明を行うものとする。)。

選択肢ア.
9月5日を旅行開始日とする宿泊を伴う国内旅行において、参加する旅行者の数が契約書面に記載した最少催行人員に達しなかったことから、旅行業者が当該旅行の契約を解除しようとするときは、旅行者に当該旅行を中止する旨を遅くとも8月22日までに通知する。

選択肢イ.
花見を目的とする日帰りの国内旅行において、開花が遅れ当該旅行の目的が成就しないおそれが極めて大きいことから、旅行業者が当該旅行の契約を解除しようとするときは、旅行開始日の前日から起算してさかのぼって3日目に当たる日より前までに、当該旅行を中止する旨を旅行者に通知しなければならない。

選択肢ウ.
旅行者が契約書面に記載する期日までに旅行代金を支払わないときは、旅行業者は、当該期日の翌日において旅行者が契約を解除したものとし、この場合において、旅行者は、旅行業者に対し、取消料に相当する額の違約料を支払わなければならない。

選択肢エ.
通信契約を締結した場合であって、旅行者の有するクレジットカードが無効となり、当該旅行者が旅行代金等に係る債務の一部又は全部を旅行業者が提携するクレジットカード会社のカード会員規約に従って決済できなくなったとき、旅行業者は、当該旅行者との契約を解除することがある。

 

 

「旅行業者の解除権等−旅行開始前の解除」は約款(標準旅行業約款 募集型企画旅行契約の部)第17条に出てきます。

この問題の正解(誤っているもの)は選択肢イ.です。

エッ? 国内の日帰り旅行だから「旅行開始日の前日から起算してさかのぼって3日目に当たる日より前まで」で合ってるんじゃないの? と思った方は残念ながら引っ掛けに遭っています。
この通知期限が設定されているのは、「最少催行人員未達による催行中止」の場合のみであって、他の理由による個別解除・催行中止においては通知期限の定めが無いのです。
本件のような「メインである花見が実現しないおそれ」や「スキーなのに降雪が無い」などの自然条件が理由での催行中止自体は認められています。ただ、そのケースでは前述の通り通知期限が定められていないので選択肢イ.は"誤り"となります。

これ以外の選択肢はいずれも"正しい"です。

選択肢ア.は先ほど出てきた「最少催行人員未達による催行中止」の正しいパターンですね。
「旅行開始日の前日から起算してさかのぼって〇日目に当たる日より前まで」という言い回しが少しやっかいですが、
・国内宿泊旅行の場合であれば13日
・日帰り旅行の場合であれば3日
・海外旅行の場合であれば23日
・オンピークの海外旅行は33日
が〇の箇所に入ります。
「旅行開始日の前日から起算」というのがややこしいので、旅行開始日からカウントしたければプラス1日しましょう。
この設問では、旅行開始日は9月5日→その14日前(13日にプラス1日しています)は8月22日 となるので通知期限8月22日で合っています。

選択肢ウ.も"正しい"です。
契約解除の期日(旅行代金支払期限の翌日)もこれで合っています。いわば"自動キャンセル"のようなものなので支払い忘れには気を付けましょう。
なお、「取消料に相当する額の違約料」は別途旅行者から支払いを受けなくても、事前に収受している申込金から充当(返金分から相殺)されるので取りこぼしはありません。

選択肢エ.も"正しい"です。
選択肢ウ.のケースと似ているとも言えますが、こちらのケースでは必ずしも旅行者の過失(ミス)とは言いきれない場合があり得るので"自動キャンセル"とはなりません。当該旅行者に連絡し、事実関係を確認した上で措置されることとなるでしょう。

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